タツノオトシゴの交尾を伝える本は、小学生には「性的すぎてふさわしくない」として、アメリカ・テネシー州の団体が、小学校からの撤去を求めている。
本の撤去を求めたのは、保守団体「マムズ・フォー・リバティー(自由を求める母親たち)」の支部で、子ども向けの本「タツノオトシゴ―ひっそりくらすなぞの魚」を、同州ウィリアムソン郡の小学校で使用するのを禁じるべきと主張している。
交尾を小学校で教えるのは早い?
「タツノオトシゴ―ひっそりくらすなぞの魚」は、タツノオトシゴの生態を紹介する子ども向けの絵本だ。
交尾や産卵にも触れていて「オスとメスは、お互いの尻尾を絡めて優しく回転し、体の色を変えます」「2匹は日没までダンスを続け、メスはオスの袋の中に卵を産みます。また、タツノオトシゴは繁殖期には数週間おきに交尾します。子育てのための袋を持っているのはオスだけで、メスだけが卵を産みます」と説明している。
美しい挿し絵で、タツノオトシゴについてわかりやすく書かれているが、マムズ・フォー・リバティーは、この本にタツノオトシゴの交尾が描かれている点や、オスが卵を育てるという説明を問題視している。
<タツノオトシゴの本に反対するマムズ・フォー・リバティーのメンバーたち>
タツノオトシゴだけじゃない
テネシー州では5月、人種に関連する一定のテーマを公立学校で教えることが法律で禁止された。
ロイターによると、マムズ・フォー・リバティーは法律が施行された後に、11ページの手紙を州の教育委員会に送り、違法になりかねない本について警告した。
規制を求めたのは、タツノオトシゴの本だけではない。
同団体は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの本が「人種間の対立を生じさせる」として禁止するよう求めている。
さらに19世紀初頭にリンゴの種を植え続けた開拓者のジョニー・アップルシードの本を「暗い」と批判し、ハリケーンについて書かれた本は「ハリケーンがもたらす破滅的な影響を知るのに、1年生は幼すぎる」と主張している。
同団体が規制を求める本は31冊。ちなみに、禁止を求めている支部の代表には、公立学校に通わせている子どもはいないという。
代表はデイリービーストに「完全に撤去されるべき本もあれば、教師のマニュアルの教え方がふさわしくない本もあります。また、高学年向けの内容の本も含まれます」と回答している。
ちなみに、マムズ・フォー・リバティーはタツノオトシゴの本は8年生(中学2年生)にふさわしいと考えているという。
<動画:タツノオトシゴ―ひっそりくらすなぞの魚(英語)>
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。