猫も杓子もSDGs。
そんな中で、ハローキティもSDGsに取り組んでいる。
SDGsは、世界が抱える課題解消を目指すために国連が2015年に採択した目標。環境保全からジェンダー平等、働きがいや経済成長まで17の目標がある。
キティが目標ごとに興味がある場所へ赴き、「自撮り」で撮影し、自作の歌で締める、という動画をYouTubeへ投稿している。
視聴者と一緒にキティもSDGsを勉強するという内容で、視聴者からは「素直に学ぶ姿勢に感動」「まじキティさん卍(まんじ)」といった声があがっている。
現在YouTubeの「ハローキティチャンネル」では、SDGs関連の動画は11本投稿されている。
最新の動画は7月末に投稿された、SDGsの目標の2番「飢餓をゼロに」にまつわるもの。
キティがフードバンクの「セカンドハーベスト・ジャパン」を訪問し、活動の様子や同団体代表へのインタビューを撮影している。
他にも、渡良瀬遊水池でスカイダイビングをしたり、兵庫県神戸市の舞子浜で、ダイバーらによる海の清掃活動に参加したりしている。
それぞれ、9番の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、14番の「海の豊かさを守ろう」を伝えるため、キティが文字どおり体を張って動画を撮影している。
キティがSDGsに取り組む理由
なぜキティはそこまでしてSDGsに取り組むのか。
サンリオのマーケティング担当者に聞いた。
「YouTubeに投稿されている全てキティが興味のあるもの・ことを自分で撮影しているので、なぜ、という部分はキティにしか分かりません。ですがサンリオの企業理念として人は一人では生きていけない、仲間たちと信じ合い、仲良く生きる、というものがあります。SDGsとつながるものがあり、キティとしてもSDGsが大事だと思ってやっているのだと思います」
どこかから頼まれたわけではなく、キティが独自に行っている活動だという。
ハローキティチャンネルにはSDGs以外にも多数の動画が投稿されているが、「ロケ」に出たのはSDGsの動画が初めてだというのだから、気合の入りようが伝わってくる。
そもそも「ハローキティチャンネル」は2018年8月30日にYouTubeで配信を開始。
キティが「世界中の人たちにも、自分らしく生きてほしい」という想いを届けるために、自分の趣味や仕事の紹介、また視聴者からのコメントへの返答などを行ってきた。
SDGs動画は、2018年9月20日に第1弾を公開。
その後は月に1回のペースで動画を公開し続けている。
再生回数は他の動画に比べて多いわけではないが、コメントはよく書き込まれている。
「学校でSDGsを習ったけど、キティちゃんの動画のおかげでよく分かった」「大学で教材として使われました」といった報告もあるという。
「キティだからこそ、世代にとらわれずにスッと伝えることが出来るのだと思います」とマーケティング担当者は話す。
キティの行動がサンリオ社員にも波及
キティの取り組みを受けて、サンリオも今年3月に行われた新商品説明会の際にSDGsについて知らせる展示を行った。メイン会場の入り口すぐの場所に、目標ごとに色分けされたキティの置物17体を飾り、SDGsをアピールしたところ、来場した取引先からも大きな反響があったという。
また7月には紙ストローも販売を開始。
東京都多摩市のサンリオピューロランドや、大分県速見郡日出町のハーモニーランド内にある一部のレストランでも導入し、年間40万本のプラスチックスとローの削減を見込んでいる。
「キティが率先して取り組んでいくので、サンリオも会社としてもっともっと、という気持ちになっている」という。
国連や外務省へも
SDGs動画では、キティの人脈に驚かさせる。
河野太郎外務大臣や、国連広報センターの根本かおる所長も登場するのだ。
ついにはニューヨークにある国際連合本部に招かれることに。
キティのSDGs動画がきっかけで、日本の外務省が主催するSDGs関連のレセプションパーティに招待されたというのだ。
レセプションで披露されたキティの英文スピーチは以下の通り。
Hi! I’m Hello Kitty!
(皆さん、こんばんは。キティです!)
Thank you very much for coming to our reception. I’m very happy to be here with you today. It’s such a treat!
(本日はレセプションにご来場いただき、ありがとうございます。皆さんにお会いできるのをとっても楽しみにしていました!お会いできて、うれしいです!)
I’ve been promoting SDGs in Japan since last year. I met with Foreign Minister Taro Kono and had a lovely conversation about SDGs. Now he calls himself Taro Kitty! We even sang a song about Goal 14 together!
(キティは、昨年から、日本でSDGs(持続可能な開発目標)を応援していますが、その活動を通じて河野外務大臣ともSDGsについて素敵なお話をさせていただき、ゴール14番の歌も一緒に歌いました。大臣は自分のことを「タローキティ」って呼んでくれています!)
I dream of a world where everybody lives happily in harmony. I’d love to see everybody all over the world saying ‘Hello’ to each other with kindness and compassion.
(キティの夢は…世界中の人たちが平和で仲良くできることです。この地球のどこでも、やさしさと思いやりの気持ちを持って、お互いに『ハロー』と仲良くあいさつできる世界を実現したいです。)
Let’s make our world brighter, happier and more sustainable together!
(一緒に、世界をもっと明るく、幸せに、サステイナブル(持続可能)にしていきましょう。)
Please enjoy your evening, everyone!
(最後になりますが、今夜のレセプション、ぜひ楽しんでくださいね。)
Thank you!
(ありがとうございました!)
キティの姿勢に学ぶこと
電通が2019年2月に行った調査によると、日本でのSDGsの認知度は全体で16%。
電通が行った別の調査では、世界の20カ国・地域の平均は6割を超えており、日本におけるSDGs認知度の低さは際立っている。
自らユーザー側の視点に立って、SDGsを自分事化し、体験しながら発信しているキティ。
その姿勢に、私たちも学ぶべき事がたくさんある。
YouTubeのハローキティチャンネルはこちら