「ちゃんと叱ればいいのに...」が一転、母になって初めて分かったこと

子育ての実態を「ちょっとクスッと笑って、なるほどと思ってもらえたら嬉しい」。

話題になっている漫画はこちら

電車で泣き叫ぶ我が子を優しく叱る母親。そんな姿を見かけたら、あなたはどう思いますか?

以前「ちゃんと叱ればいいのに」と思っていた女性漫画家は、自ら子育てを経験したことで「平然としているフリをしていることがあるんだ」と気づき、そのことを漫画にしてツイッターに投稿。子育て中の人たちを中心に多くの共感を呼んでいます。

どんな思いを込めたのか?女性作者に話を聞きました。

獲れたてのマグロを抱えて...

今月8日にツイッター投稿された4コマ漫画。

「退避する際は獲れたてのマグロを抱えて走る漁師みたいな感じです」という文言とともに、泣き叫ぶ子どもと母親の様子が描かれています。

「やだーっ!」と寝転がって泣き叫ぶ子どもを優しくなだめる母親を見て、作者は「自分の子どもってかわいいんだろうけど ちゃんと叱ればいいのに... 私が親なら めっちゃ叱ってから 抱きかかえて外に出るわ」と思っていました。

ところが、自分の娘が2歳になって、考えが変わったことが描かれています。

「きつく言うと余計泣いて手がつけられなくなるので しずかに叱り 落ちつくのを待ってから抱っこして退避...がいちばんマシ」

投稿したのは吉川景都さん

この投稿に対するリツイートは1万8千を超えており、こんな反応が寄せられています。

「イヤイヤになると話が通じない」

「甘やかしてる訳じゃないのよ。最適な方法がそれ」

「2歳児のマジだだこね中の馬鹿力はあなどれない」

「私の家だとグーで殴られた」

「帰宅後ボロクソに叱られるパターンでした」

「世間さまの眼差しは、とどまるも地獄、担いで帰るも地獄」

漫画を投稿したのは吉川景都さん。「猫とふたりの鎌倉手帖」「鬼を飼う」「モズ 葬式探偵のあいさつ」などの作品で知られる漫画家で、現在2歳になる娘の子育て中です。

「この状況、見たことある」

どんな思いを込めて描いたのか?吉川さんに聞きました。

――今回の漫画はご自身の経験を描いたのですか

「そうです。娘が1歳半を過ぎたあたりからイヤイヤが少しずつ始まり、今はピークはやや過ぎたという感じです」

――描こうと思ったきっかけは

「子どもがショッピングモールや本屋さんで大泣き&大暴れ......ということが続いた時に、『あれっ、この状況は見たことがある』と思ったのがきっかけです」

――漫画を通じて伝えたかったメッセージは

「お恥ずかしい話ですが、自分自身が子どもを産むまで、子どもがあまり好きではなくて、町で見かけるパパ・ママにも厳しい視線を向けていたところがあります。しかし、自分が妊娠・出産してみると『ああすればいいのに、こうすればいいのに』と思っていたことの大半は、現実の子ども相手には通用しなくて......」

「当時の自分を猛省すると同時に、自分自身の理解の足りなかった部分を漫画を通して知ってもらえたら、そして、ちょっとクスッと笑って、なるほどと思ってもらえたら嬉しいです」

「笑いあえたら、とても幸せ」

――お子さんが大きくなったことで、他にも同じように気付いたことはありますか?

「やさしく叱る、というのもそうですが、よく聞く『子どもが騒いでるのに親が無視している、平然としている』というのも、『平然としているふりをしていることがある』ことに気づきました(笑)。うちの場合は、怒っている娘を私が怒ってしまうと双方ヒートアップして収拾がつかなくなるので、『泣いてもママ全然平気だよ~』というサインを出すためにやっているのですが、はたから見たらちゃんと相手してあげなよって思われるのでは、と思います。もちろん場所とタイミングを見て、しっかり叱る時は叱っています」

――多くの反響が寄せられています

「特に同じくらいのお子さんがいらっしゃる方や、ちょうど子育て中の方から、『本当にそう』『本当に獲れたての魚』というような感想をいただいて嬉しく、自分だけじゃないんだと実感できて心強かったです。実際に泣かれる時は周囲の方にも気を遣うし、本当に大変なんですが、こうして漫画を通して『大変だよね』と笑いあえたら、とても幸せです」

――子育て中の人に向けてメッセージを

「本当に怒濤の日々ですが、がんばりましょう!子育てしながらも、娘が0歳の時には知らなかったこと、1歳の時には気づかなかったことがたくさんあり、まだまだ先は長いですが、困ったこと、つらいことも、楽しみに変えながら過ごせたらと思っています」

――これは言っておきたい、という点があれば

「ベビーカー論争や外での授乳問題など、子育て関連の話題が絶えないですが、町中で見かけるパパやママを周りから見て、『なんでこうしないのかな』『どうしてこんな風にするのかな』とちょっと引っかかる部分があっても、『実はパパ・ママ側は子どもに対して理由があってやっている』ことが結構多い(ということに実際気づいた)ので、あたたかく見守ってもらえたらと思います。平気そうにしていても、案外心の中は大焦りだったり、内心めちゃくちゃ謝ってたりするので......」

【関連記事】

注目記事