こういっちゃなんだけど、オレは科学ってものが好きなんだ。
だから、研究に取り組む人たちに取材して話を聞くのはすごく面白くて楽しいし、大好きな時間なんだよね。
その気持ちは相手にも伝わるようで、ほんとうに色々面白い話を聞かせてくれる。
手前味噌の自慢話だけど、昔、同行してくれたカメラマンが取材後、「今日の先生は、最初は仏頂面でどう撮影するか困ったけど、鹿野さんと話しているうちにどんどん表情が良くなって、良い写真が撮れましたよ」なんてことを言ってもらったことがある。
あるいは、数人の方を相手に取材したあと、同行の編集さんに、「あの研究者の方とは何度も会っているんですが、一言も話すのを聞いたことがなかった。鹿野さんとは普通に話していてびっくりした」みたいなことも言われたことがある。
べつに、そういうふうに仕向ける、何かテクニックみたいなものがあるわけではなくて、オレ的にはただ素直に、そりゃあ面白いねって話を聞いているだけなんだけどね。
まあ、近頃は、そういう取材をさせてくれる媒体が減っちゃったので、すこし寂しい思いをしていたり。そういう科学系の取材があるお仕事させてくれる媒体があったら、喜んでお引き受けいたしますので、お気軽にご連絡ください。良い仕事しまっせ~( ・∀・ )
何年か前、宇宙作家クラブのメンバーと、一泊旅行で、西はりま天文台公園に見学にいったことがある。ここは、宿泊施設があったり、一般公開の望遠鏡としては日本最大だったり、SETIプロジェクトをやってたりなかなか面白いところなのね。
その夜に、電波天文学者の森本雅樹さんや、天文台の若手の研究者のみなさんと一緒にお酒を飲んだんだよね。
森本さんは、野辺山の電波天文台開設に大いに尽力した人で、人好きのする本当に面白い人。小松左京さんとも仲が良くて、宇宙には水もアルコールもあるから、水割りが作れるねなんて話をしていたり。
はりまでは名誉顧問をされていたんだけど、若手たちからは、なんかワケわからん面倒くさいことを言い出すしょうもない爺さん扱いされていて、とても良い味を出してた。
それに、女性がいると必ず隣に座って、ちょっと手を握らせてとか、お尻を撫でさせてなんてことをやってたりして、オレも将来こういう年寄りになりたいと、よいロールモデルを見せていただいた思いです( ・∀・ )
で、みんなでお酒を飲んでいろいろ話していて、オレはたしかSETIやってる若手研究者のみなさん相手に、地球以外に知的生命体なんて居るわけないよみたいな、だいぶ挑戦的な議論をふっかけていたんじゃなかったかな。
そのとき、ふと森本さんがオレに向かって「あなたは研究者を尊敬してるんだなあ」とおっしゃったのだった。
意表を突かれて、オレは、「ばっ、ち、ちげーよ( /// )」みたいな感じになっちゃったのだった。
この人は、なんて洞察力が鋭いんだろう。こりゃあかなわんなあともおもったな。
そんな、科学や科学をやっている人の話が好きなオレにとって、STAP細胞問題はかなり衝撃的なできごとだ。
いったいどうしてこんな事になっちゃったのか、オレは本当にがっかりしている。
詳しい事情は今行われている調査を待つしかないのだけど、果たしてそれで出来事の全貌が明らかにされるかどうかもよくわからない。
と、いうか、これは明らかに、小保方さんという、一人の未熟な研究者がやらかしちゃたというだけの、小さな問題じゃないんだよね。
日本の今の、これからの科学のあり方にも関わる大きなできごとで、色々な側面から語られるべき問題なんだと思う。
(2014年3月31日日「くねくね科学探検日記」より転載)