「ストレートパーマを強制された」
「髪を一つにまとめないといけないルールがあった」ーー。
東京弁護士会が、外国にルーツのある子どもやその保護者を対象に、「髪の毛」に関して指導を受けた学校での経験を尋ねるアンケートを実施している。
同会によると、外国にルーツのある生徒たちが生まれつきの髪質や髪色を理解されず、学校指定の髪型にするよう注意を受けたり、髪を黒く染めるよう指導されたりするケースが確認されていることから、実態を把握するために調査に乗り出したという。
回答は、ネット上の専用フォームで募っている。
編み込みは「奇抜だから」
日本で生まれ育ち、千葉県の公立高校に通う女子生徒(15)も、髪型に関する指導に悩んでいる一人だ。父親はアフリカ系にルーツがある。生徒自身も、ブラックルーツの人に多いカールの強い髪質で、手を加えなければいわゆる「アフロヘアー」になる。
髪が広がるのをおさえるため、生徒と母親は学校に対し、コーンロウやブレイズと呼ばれる編み込みをして通学したいとの希望を伝えた。
だが、学校側は「編み込みは奇抜だから」「他の生徒には禁止と指導している(ため、例外は認められない)」と説明。コーンロウなどにする場合、キャップを被ることを条件とした。
生徒は「編み込みで通える方法を考えてもらえたことはうれしいけれど、帽子で髪の毛を隠して生活しないといけないのはおかしい」と感じたという。
編み込みが認められないため、生徒は現在髪を一つに結んで登校しているという。だが、生徒の髪質では一つにまとめるために頭髪用の油を使う必要があり、フケが目立つようになった。広がらないよう固く結ぶため、頭皮が赤く腫れることもあるという。
「ルーツに否定的な思い抱くことも」
東京弁護士会の「外国人の権利に関する委員会」委員長で、調査を担当している林純子弁護士によると、特に中学校や高校に上がると指導が厳しくなり、学校が指定する髪型や髪色にするよう注意を受ける生徒は多いという。
アンケートには、前述の女子生徒のように編み込みが認められないケースのほか、「一定以上の長さになったら、髪を一つにまとめないといけないルールがあった」「ストレートパーマをかけることを強制された」といった声が寄せられている。
林弁護士は、問題の背景の一つに「子どもによっては特定の髪型が大きな負担になることへの(学校側の)想像力が足りず、生徒のルーツを尊重する姿勢の欠如があるのではないか」とみる。
外国にルーツのある子どもの「髪の毛」に関する指導を巡っては、兵庫県姫路市の県立高の卒業式で2月、生徒が髪型を理由に卒業生用の席に座ることを認められなかった問題が報じられ、波紋を呼んだ。
林弁護士は、「学校側の無理解や杓子定規な対応によって、子どもたちが自らのルーツや自分自身に否定的な思いを抱いてしまうこともある」と指摘する。
調査を通じ、「髪型や髪色を強制するような不適切な事例だけではなく、児童生徒の希望を尊重する良い対応をしているケースも把握し、他の学校も参考にできるよう広めたい」としている。
アンケートの回答は6月14日まで募っている。
【取材・執筆=國崎万智(@machiruda0702)/ハフポスト日本版】