新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ライブハウスや劇場などの文化施設が営業自粛を余儀なくされている。この状況に危機感を訴えるアーティストらが発起人となり、政府に助成金の交付を求める署名運動「#SaveOurSpace」が始まった。3月30日時点で20万筆以上の署名が集まり、大きな反響を呼んでいる。
「客入れの停止を行うために、助成を求めます」
署名の発起人となったのは、DJ NOBUさん、スガナミユウさん(下北沢のライブハウス「LIVE HAUS」のオーナー)、篠田ミルさん(yahyelのメンバー)、 DJのLark Chilloutさん、Mars89さん。
署名では、ライブハウスやクラブ、劇場などの施設について、「各会場の代表者を主体として、政府が収束を発表するまでのあいだ会場に観客を入れることの停止を検討しています」と宣言。
その上で、「自粛要請が始まった2月26日から政府が収束を発表するまでの期間を対象期間として設定し、助成を国へ求めます」と、営業休止による経済的ダメージを防ぐため、助成金を交付するよう求めている。署名ページはこちら。
「税金で補償するのはなかなか難しい」安倍首相は会見で説明
政府はイベントの延期や中止などを要請しているが、それによって生じた損失の補償制度は提言していない。
安倍首相は28日の会見で、「文化芸術スポーツは大変重要である。この火が一度消えてしまっては、復活するのは大変だということは重々承知している」と述べたが、「損失を補填する形で税金で補償するのはなかなか難しい」と、税金を使った補償制度は実施しない方針であることを示していた。
署名の発起人らは、「他業種と比べて集団感染の発生の可能性が高い場所であることは事実であり、いま感染の拡大を防ぐことはとても重要な事であると考えております」と主張。
「この助成案を実現して頂けたら、文化施設、従業員、出演者、関係者、一丸となり新型コロナウイルスの収束へ尽力いたします」としている。
関係者によると、署名は3月31日13時まで募集し、集まった署名は行政に提出予定だという。同日、ライブ配信による記者会見も開く予定だ。
坂本龍一さんや水原希子さんなど、多くの賛同者
「#SaveOurSpace」のハッシュタグで署名運動がスタートすると、アーティストを含め、賛同者が続出。
坂本龍一さん、水原希子さん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さん、コムアイさん、OKAMOTO’Sのオカモトレイジさん、加山雄三さん、松田龍平さんなど、多くの著名人が賛同している。
スタート当初の目標は30日までに10万筆を集める予定だったが、30日18時時点で20万筆以上に。関係者は、「目標数の倍以上の署名が集まったのは、それだけこの問題が切実だということ。行政に対して声を発したいと思う人がこれだけいるということを示しているのだと思います」と話している。
署名運動「#SaveOurSpace」ステートメント全文
日本政府、国会議員の皆さまへ
現在、ライブハウス・ナイトクラブ・劇場は、新型コロナウイルスの影響により経営の危機に瀕しております。イベントの自粛要請、不要不急の外出の自粛要請のなかで、公演の中止が相次ぎ、売り上げの急落が起きています。
今この状況下では集団感染の発生を防ぐことが大切なことだと理解をしながらも、経済的な事情により営業を続けざるをえない状況に陥っています。
そして、その状況下で従業員はもちろん、出演者、音響エンジニア、照明エンジニアなど多くの関係者にも大きな被害が発生しています。
そこで、我々は感染拡大を防ぐため、各会場の代表者を主体として、政府が収束を発表するまでのあいだ会場に観客を入れることの停止を検討しています。
感染拡大の防止に向けた客入れの停止を行うために、自粛要請が始まった2月26日から政府が収束を発表するまでの期間を対象期間として設定し、助成を国へ求めます。この助成には、施設の維持費、従業員の給与、イベントの製作経費 (出演料、音響、照明)などを含みます。
また、新型コロナウイルスの影響でこれまでに中止にした公演に関しては、実損額を提示し、同額の助成を求めます。
他業種と比べて集団感染の発生の可能性が高い場所であることは事実であり、いま感染の拡大を防ぐことはとても重要な事であると考えております。
この助成案を実現して頂けたら、文化施設、従業員、出演者、関係者、一丸となり新型コロナウイルスの収束へ尽力いたします。
また、会場閉鎖期間中は、無観客でのライブストリーミングなどにシフトし、集団感染のリスクを排除した状態で文化の継続と発展のために出来ることを模索致します。
#SaveOurSpace