2月中旬、新聞社の関係者に衝撃が走った。産経新聞社の春採用予定者の人数が、わずか2人だったことが明らかになったからだ。全国紙の一角を占める産経新聞社に何が起きているのか。
■前年比で20分の1に
日本新聞協会が発行する「新聞協会報」。2月19日付けの記事に、全国の主要な新聞・通信社の春入社予定数が記載された。全国紙各社を見ると、朝日72人、毎日61人、読売80人と続く中で、産経は2人のみだった。
ハフポスト日本版が、産経新聞社広報部に確認したところ、「2019年春の新卒定期入社予定者は2名(記者1、ビジネス職1)です」という回答だった。
同社の新卒採用者数を聞いたところ、2014年と2015年が、それぞれ26人。2016年が41人、2017年が54人、2018年が40人だった。2019年は前年比で20分の1となる。
例年に比べて2019年の採用者が極めて少ない理由については「人事施策についてはお話ししておりません」として、ノーコメントだった。
■51歳以上の社員180人対象の希望退職を募集
ここまで新規採用が少ない背景には、苦しい台所事情が背景にあるようだ。産経新聞社の中間決算短信によると、2018年4~9月の連結業績は約4億7000万円の営業赤字となっている。
さらに産経新聞社の関係者によると、2月から51歳以上の社員180人を対象に希望退職者を募っているという。
この関係者は以下のように話す。
「社内では希望退職の話で持ちきりで、新卒が少ないということは想定の範囲内なので話題になっていない。むしろ、これまで新卒を採りすぎた反動だと思う。このところ、新聞広告が低迷している。ネット部門や、美術館ビジネスなどの文化事業は好調だが経営を支えるほどまでは育っていない。不動産業など他の収入源の確保も難しい中で、新卒を絞るということなのだろう」