【UPDATE】NHKニュースによると、政府は持ち回りの閣議で、国税庁の佐川宣寿長官の辞任を認める人事を決定した。(2018/03/09 18:49)
国税庁の佐川宣寿長官が辞任の意向を固めた。3月9日午後、共同通信などが報じた。
佐川氏が国税庁長官に就任したのは2017年7月。通例では1年程度は務めることが多く、わずか8カ月での退任は異例だ。
共同通信は「混乱の責任を取ったとみられる」「安倍政権にとって痛手となるのは必至だ」と分析している。
佐川氏は、2017年2月に森友学園への国有地売却をめぐる問題が発覚すると、財務省の理財局長として売却の経緯などを国会で答弁していた。
森友学園への国有地売却をめぐっては、国が不当に安い価格で国有地を売却したとする背任容疑などで、大阪地検特捜部が捜査を進めている。
■佐川氏の国会答弁、朝日・毎日が報じた「決裁文書」とズレ
佐川氏は財務省理財局長時代に、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐって、事前の価格交渉を否定する答弁を繰り返していた。交渉記録についても「廃棄した」とも主張していた。
- 「全て法令に基づいて適正にやっている」(2017年2月24日:佐川宣寿・前理財局長=衆院予算委員会)
- 「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」(2017年3月15日:佐川氏=衆院財務金融委員会)
一方で、国有地売却をめぐり、財務省の決裁文書が「書き換えられた疑いがある」と、3月2日に朝日新聞が報道。契約当時の決裁文書に「学園の提案に応じて鑑定評価を行い」「価格提示を行う」などの記載があったと伝えた。
さらに毎日新聞が3月8日、「別の決裁文書」にも「学園に価格提示を行う」といった文言が含まれていたと報じた。
国有地売却の経緯を説明させるため、野党からは国会招致を求める声も。また、更迭を求める意見も出ていた。
一連の問題をめぐっては、財務省近畿財務局の担当部署で対応に当たった男性職員が神戸市の自宅で死亡していたと、3月9日に共同通信などが報じた。自殺とみられる。