モデルやタレントとして活躍したryuchellさんが7月12日、亡くなったことがわかりました。
ryuchellさんは1995年、沖縄県で生まれました。高校卒業後に東京・原宿でショップ店員をしながら読者モデルとして活躍し、テレビ番組の出演をきっかけに、タレントとしても人気を集めるようになりました。
幼い頃から「普通」からはみ出している自分に生きづらさを感じていたという、ryuchellさん。
SNSやテレビ、イベントなど様々な場所で 「あなたはあなたでいい」という一人一人を肯定するメッセージを伝え続けてきました。
ハフポスト日本版やバズフィードニュースにも、何度もインタビュー取材や対談の形で登場していただき、読者を勇気づける言葉をくれました。
過去のイベントやインタビューなどから、これまでryuchellさんからもらった言葉を振り返ります。
居場所を作って、自分を愛して
ryuchellさんが大切にしていたのが、自分らしく生きること。2018年9月に開かれたイベントでは、そのためには「居場所を作ることが大切」と語りました。
「みんなに認めてもらうっていうのは、やっぱり難しいんですよね。だって、僕だって嫌いな人はいるし。みんなに認めてもらうのは無理なので、どうにかして、自分の居場所を作る。自分を愛してあげることが大切かな、って僕は思います」
また、2019年10月の朝日地球会議のハフポスト日本版の対談では、誰もが自分らしく生きることについてこう述べていました。
「誰に何を言われても、どんなときも。そしてコンプレックスや孤独を吹き飛ばしてくれる大好きな歌やドラマや映画を見て、自分もきっとこうなれるって人生を全肯定して!」
「いい社会をつくるためには、まずは今すぐ自分を愛してあげて。自分を愛するからこそ、自分に自信が出てきて人のことも愛せるようになるから」
「自分と違う人を否定するのはダサいと思っています。そういう生き方は幸せそうじゃないし、狭い世界でしか物ごとをとらえられていない気がする」
ryuchellさんは幼い頃からかわいいものやメイクが大好きだったものの、それをからかわれることなどに息苦しさを感じていたといいます。
しかしSNSで発信するうちに「生き方を肯定してくれる人たちがいる」ということに気づき自分を愛せるようになった、と2020年の不登校新聞の取材で話しています。
「それは、自分の性格をわかっていて、なおかつ、自分を大切にするために自分を守る行動をとったからです」
「人としてダメだとか、自分を責める要素はひとつもない。むしろ僕は、そう思えたあなた自身を尊重してあげてほしいと思いました。人のためより、自分のためを大切にしてほしいですからね」
必ず愛や幸せの形が存在する
ryuchellさんは日本最大級のLGBTQイベント「東京レインボープライド(TRP)」にも、ゲストや司会者として何度も参加しました。
2019年のTRPでは、自分の個性が出せず苦しんだという学生時代を振り返り、「世の中には愛が溢れている。だけど人にからかわれたり、バカにされたりして、その愛を見失ってしまう人もいると思う。だけどどんなかたちであれ、どんな色であれ、全ての愛は美しいんだよ、ということを伝えたいと思っています」と語りました。
コロナ禍でオンライン開催になった2020年には、自分らしく生きられるようになったのは「自分のことを認めてあげた力があったから」と語りました。
「(ネガティブなことを言われた時に)どうやって立ち直ったかというと、本当に泣いて、なんでそんなこと言われなきゃいけないんだよと思って、泣いて。でも鏡で泣き顔を見てみたら、『あれ、僕、可愛い...』と思って。(笑)だから、常に自分が可愛いと思うことをやってきて。得意なことがあるわけじゃないんだけど、あるとしたら、自分のことを認めてあげた力だと思っています」
「10言われたうちの8が褒め言葉だとしても、2が気になるじゃないですか。でも、8は褒められてる。8は自分の中の武器なんだから、それをもっと頑張っていこうって、そう思って生きていったら楽になりました」
「大人になってから自己肯定感を育てるのはすごく難しい。今から頑張って自分を好きになろうと思うのは難しいと思うので、まずは一つ自分を褒めてあげるところを見つけるとか...。ちょっと人のせいにしてみるとか。自分を守ってあげて、愛してあげるっていうことも、大人になって迷われている人に伝えたいです」
ryuchellさんがずっと大切にしてきたのが自分や他者への「愛」です。2023年のTRPでは、愛についてこう語っています。
「私は人が人を愛するということ、愛というものに、決まった形や道というのはないと思っています。皆さんそれぞれのところに必ず、愛や幸せの形がそれぞれが存在するって思っていますし、信じています」
「自分の心の中にしかない愛や幸せの形があるということ。自分の心にしっかり目を向けてあげて、自問自答してあげて、『秘密を抱える』って選択をしても良いけれども、どこかに居場所を作って、愛というものを諦めないで、生きていってほしいなって思います」
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生きるのがつらいと感じている人や、周りに悩んでいる方がいる人たちなどに向けて、以下のような相談窓口があります。
BONDプロジェクト(10代20代女性のためのLINE相談)