冨樫義博さんの人気漫画『HUNTER×HUNTER』に影響を受けた若者グループ「リョダン」による大規模な乱闘が、2月中旬からロシア各地で発生した。ロシア軍の侵攻を受けている隣国ウクライナにも波及。「リョダン」の支持者が警察に拘束される事態となっている。
ロシアとウクライナの間の戦争が1年を超える中、現地の若者の間でフラストレーションが高まっていることも背景にありそうだ。
■背中にクモが描かれた黒い服を着用
ノルウェーのメディア「ロシアの犯罪」などによると、グループの正式名称は「PMCリョダン」。『HUNTER×HUNTER』に登場する盗賊集団「幻影旅団」に由来している。
PMCは「民間軍事会社」を意味するが、軍事組織とは関係がないジョークだという。幻影旅団のメンバーがクモの入れ墨をしていることになぞらえて、メンバーは背中にクモと数字の4が描かれた黒い上着を着用することを好むという。「リョダン」を名乗るSNSはメンバーとみられる人々の写真をアップしている。
ラトビアに拠点を置く独立系メディア「メドゥーザ」によると、「リョダン」の最初の集団乱闘は2月19日にモスクワのショッピングモールで発生した。その後、20日にかけて、サンクトペテルブルク、クルスク、ノボシビルスク、カザンなどロシア各地の都市で広がった。
サンクトペテルブルクのショッピングモールでは、10代の若者130人以上が逮捕されたという。
■ウクライナでも「リョダン」が波及か
さらにはロシア軍の侵攻を受けている隣国ウクライナでも、「リョダン」の影響を受けた動きが出ている。ウクライナ・プラウダは2月27日、東部の主要都市ハルキウで大規模な乱闘に向けて集まっていた245人の若者たちを警察が拘束したと報じた。呼びかけたのは「リョダン」の指導者だったという。
また「リョダン」の関与は不明だが、チェルカースィ、リヴィウ、イバノフランコフスクなどウクライナ各地でも若者たちの街頭行動があり、いくつかは乱闘に繋がったという。