ロシアのプーチン大統領は9月21日、国民を部分的に動員する大統領令に署名したとテレビ演説で発表した。
第二次世界大戦以来初となる動員令では、30万人程度が招集されると見られている。
しかしこの動員令に、ロシア国民の一部は強く反発 。発表から数時間後には、モスクワやサンクトペテルブルクなど複数の都市で抗議活動が開かれた。
SNSには、モスクワ中心部のアルバート通りで人々が「戦争反対」「プーチンを前線に送れ」「私たちの子どもを死なせない」と訴える姿などが投稿されている。
ロシアでは、戦争や軍事活動を批判する行為に重い刑事罰が課されるため、抗議活動の参加は逮捕のリスクを伴う。
モスクワのデモに参加した女性は、「何も怖くありません。一番奪われたくない大切なものは、子どもたちの命です。私は我が子の命を差し出したりしません」とAP通信に語っている。
さらに「抗議活動は効果があるか」という質問に「効果はないでしょう。しかし、立場を表明することは市民の務めです。戦争反対!」と答えた。
また、エカテリンブルクでは、車椅子に乗った一人の女性がプーチン大統領について「彼は、私たちの上に爆弾を落とそうとしているのに、まだ彼を擁護しているなんて。もうたくさんだ」と述べた。
一方、ロシア検察当局は、デモの企画や参加などの行為は最長15年の懲役刑が課せられると警告。
ロシアの独立系人権団体「OVDインフォ」は21日、少なくとも1300人以上が身柄を拘束されたと発表した。
またAP通信は、モスクワの夜の抗議活動では、開始後15分で少なくとも10人程度が逮捕されたと伝えている。
予備役動員への反発は、デモだけに止まらない。
ロシアメディアは、国外へ脱出しようとする人たちで海外航空券の需要が増加していると報道。徴兵年齢の男性が、国境に向かっていると伝えた。
プーチン大統領が予備役の動員を決めた背景には、ウクライナ侵攻が当初の思惑通り進んでいないことがある。
ロシア軍は9月に入ってから、一時占領したウクライナ東部や南部地域の一部で撤退している。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。
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