ロシアのフィギュアスケート女子が「戦国時代」の様相を呈してきた。
2018年2月の平昌オリンピックでは、世界女王のエフゲニア・メドベージェワ選手(19)を抑えてアリーナ・ザギトワ選手(16)が優勝したかと思えば、12月22日にあったロシア選手権では、そのザギトワ選手を抑えてジュニアの選手たちが表彰台を独占した。
4回転ジャンプを成功させるなど驚異の実力を発揮しており、国際大会での今後の活躍が注目される。
青紫色のコスチュームをまとったアンナ・シェルバコワ選手(14)が空中を4度回ってきれいに着氷した時、会場からは大きな拍手がわいた。
12月22日、ロシア・サランスクで開かれたフィギュアスケートのロシア選手権。女子のフリーで、シェルバコワ選手は冒頭、4回転ルッツを成功させた。
「やりました。男子の選手だってこんなに上手にできませんよ」。試合を解説していたロシア・フィギュアスケート界の大御所、タチアナ・タラソワさんも思わず、興奮した。
勢いに乗ったシェルバコワ選手はこのままノーミスで滑り切り、ショートプログラム(SP)5位からの優勝を成し遂げた。
「滑走前のウォーミングアップでは、いつも4回転ルッツが成功しているわけではないけど、日々の練習のおかげで調整することができました。どう跳躍すればいいのかわかっているし、あとはすべてコントロールし、実行することが必要なだけです」。地元メディアによる優勝後のインタビューで、シェルバコワ選手は冷静に答えた。
シェルバコワ選手のほか、表彰台に上ったのはいずれもジュニアの選手たちだった。2位に輝いたのはアレクサンドラ・トルソワ選手(14)で、フリーで4回転ルッツを成功させた。
3位に輝いたアリョーナ・コストルナヤ選手(15)はジャンプこそ4回転は跳ばなかったが、豊かな表現力と完成度の高い演技で1、2位に肉薄した。
一方、平昌オリンピックで金メダルを獲得したアリーナ・ザギトワ選手はSPで首位に立ったが、フリーの演技で2度転倒するなど振るわず、7位に終わった。
平昌オリンピックで銀メダルに輝いたエフゲニア・メドベージェワ選手も5位だった。
表彰台を独占した3人はいずれも、ザギトワ選手を育てたエテリ・トゥトベリーゼ氏(44)から指導を受けている同じ門下生だ。
実力選手が「群雄割拠」しているロシアは今、世界で最も選手層の厚いスケート王国と言える。
12月上旬にあったグランプリシリーズで、紀平梨花選手(16)がザギトワ選手を下したが、今後もロシア勢との激闘が予想されるだろう。