ロシア国内はいま、どうなっているのか。反戦デモ、ATMは殺到…「こんなことは望んでいない」

全てのロシア国民がプーチン大統領を支持しているわけではない。ロシア各地で反戦デモが起こり、6000人以上の参加者が拘束されたという。
無許可の反戦デモに参加した人々 (2022年2月28日、ロシア・サンクトペテルブルク)
無許可の反戦デモに参加した人々 (2022年2月28日、ロシア・サンクトペテルブルク)
Valentin Yegorshin via Getty Images

ロシア軍はウクライナに侵攻し、残酷で正当な理由のない攻撃を続けている。

ロシアの全ての国民がプーチン大統領を支持しているわけではない。

プーチン大統領は2月末、ウクライナに宣戦布告し、全てのウクライナ軍に武器を置くよう求めた。そして、すべての「起こりうる流血」はウクライナの責任であり、ロシアは「必要性」に応じて侵攻したと主張している。

攻撃はさらに悪化し、ロシアと友好的な関係にあるハリコフへの爆撃は、多くの人から「戦争犯罪」と呼ばれている。

プーチン大統領は、ウクライナは独立国として存在する権利はなく、その統治権を維持することはできないと主張。同時に、西側諸国とNATOに対し、ロシアの邪魔をすることは「歴史上直面したどんな結果よりも大きいこと」に向き合うことになる、と警告している。

しかし、プーチン大統領は、自国の雰囲気を把握していないようである。

なぜ一部のロシア市民は戦争を支持しないのか?

ルーブルの価値が急落し、人々は預金を引き出すためATMに殺到するなど、ロシアの一般市民は西側諸国からの制裁の影響を直接体験している。西側諸国は国際決済システムSWIFTからロシアを切り離し、インフレを誘発し地元の人々に大きな打撃を与えている。

多くの人は、ウクライナはロシアにとってきょうだいのような国で、攻撃の標的にすべき国ではないと考えている。ロシア人の多くは、ウクライナに友達や親戚、仕事仲間が住んでおり、彼らが侵攻により直接影響を受けることになる。

また、この新たな攻撃的な行為により、ロシアが世界でさらに孤立化することを気にして、それを止めるようクレムリン(ロシア大統領府)に懇願している人々もいる。

しかし、クレムリンは抗議活動を軽視しようとし、国民の大多数がウクライナへの攻撃を支持していると主張している。

どのくらいの人が抗議しているのか?

ロシアがウクライナに兵力を投入した日、ロシア全土の主要都市で反戦デモが発生し、サンクトペテルブルク、ノボシビルスク、エカテリンブルク、モスクワの各地でデモ隊を鎮圧するための警備が配置された。

デモが全面的に禁止されているため、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降、約6500人の反戦デモ参加者が拘束されたと伝えられている。

警察は参加者は誰でも拘束するようで、2月24日だけでも54都市で1754人が逮捕された。

機動隊員の数はデモ参加者よりも多く、デモが平和的であっても誰彼かまわず捕まえて、車に押し込んでいる姿が写真に収められている。中には、地面に投げつけられてから引きずられていく人もいたという。

人々は「戦争反対」を唱えながらデモを続けているが、AP通信によると、デモは日が経つにつれ縮小し、分散していっているという。

人権活動家のMarina Litvinovich氏は2月24日、Facebookでビデオ声明を発表し、行動を呼びかけた。「私たちロシア国民は、プーチンが始めた戦争に反対しています。私たちはこの戦争を支持していません」

彼女はモスクワの自宅マンションを出た後、すぐに警察に拘束された。

いわゆる「無許可の抗議活動」に参加した者は、懲役刑や重い罰金を課される可能性がある。Telegraph紙のロシア特派員Nataliya Vasilyeva氏も、デモ参加者は「無差別に」連行されたと述べている。

Nikita Golubev氏はモスクワでThe Guardian紙に「自分の国を恥ずかしく思います。正直、言葉を失っています。戦争は常に怖いもの。こんなことは望んでいません。なぜこんなことをしているのでしょうか?」と語った。

デモはネットでも

路上でのデモとは別に、人々はオンラインで集まり、大統領府に方針を変えるよう懇願している。

ロシアのテレビ司会者、コメディアンや歌手、日本でも有名なフィギュア・スケーターのメドべージェワ選手などの有名人もソーシャルメディアを通じて侵攻に対して反対の声をあげている。ただし、プーチン大統領の名前を出した人はいない。

また3月1日にはロシアの科学者5000人以上が、ウクライナとの戦争に反対する懇願書に署名した。

この懇願書には、ロシアが仕掛けた「敵対行為に対する強い抗議」を呼びかけ、「ヨーロッパに新たな戦争を引き起こした責任は、全てロシアにある」と加えた。「この戦争に合理的な正当性はない。ウクライナが我が国の安全保障に脅威を与えていないのは明らかだ」と指摘している。

Financial Timesのモスクワ支局の編集長マックス・セドン氏によると、国家の行動に反対する発言をするだけで、「国営放送から一生追放される」こともあるという。

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。

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