9月20日夜、いよいよラグビーワールドカップ日本大会が始まる。
ラグビーはルールが複雑で、観戦していても何が起きているのか分からない人も多いのでは?
そこで簡単なルールの解説と、詳しくない人が観戦中に抱くであろう3つの疑問を解説する。
ラグビーのルール・超初級編
1チーム15人のプレーヤーが、1つのボールを奪い合いながら相手陣地のゴールラインを目指す。
ゴールラインを越えた地点(インゴール)の地面にボールをつけることができれば「トライ」となり得点が入る。
試合時間は前半・後半40分ずつで、間に10分間のハーフタイムを挟む。
ボールは後方にしか投げられず、前方に投げたり、前に落としてしまったりするとペナルティーとなる。
ボールを前進させる方法としては、ボールを持って走るか、前へ向かってキックするかのいずれかに限られる。
ゴールと得点は以下の通り。
・トライ(5点)・・・相手側のゴールラインを超えてボールを地面につけること。
・コンバージョン(2点)・・・トライ成立後に与えられる追加得点のチャンスで、キックしたボールがゴールポストの間でクロスバーの上を越えると得点。
→一度のトライで7得点できるチャンスがあるため、ラグビーは点差が開きやすい。
・ペナルティーゴール(3点)・・・オフサイドや危険なタックルなど、相手に重い反則があった場合、反則しなかった側に与えられる。
・ドロップゴール(3点)・・・プレー中にボールをワンバウンドさせて蹴り上げる。
初めてラグビーを観戦した時に抱きがちな3つの疑問
①試合中に監督(ヘッドコーチ:HC)がいないのはなぜ?
お気づきだろうか、ラグビーの試合中、監督はグラウンドにいない。
試合中継などで監督の姿が抜かれる時、だいたい観客席の上方にいる。
サントリーのコラムによると、その理由はずばり「見やすいから」。
そもそもラグビーにおいて、「試合中に決断を下すのは全て選手」という考え方があるのだという。
だが前半、後半の間のハーフタイムでは監督もロッカールームに来て選手に直接指示を出し、試合中もマイクでグラウンドにいるスタッフを通じて指示を出すことがあるそうだ。
しかし試合中に強い決定権を持つのは選手、特にキャプテンだ。監督の指示に従わない場合もある。
日本代表で伝説のジャイアント・キリングとなった2015年ワールドカップの対南アフリカ戦。
3点ビハインドで迎えた最後のプレーで、当時監督だったエディ・ジョーンズはマイクで「ショット(ペナルティ・ゴール)」の指示を出していたという。
だがキャプテンのリーチ・マイケルは指示を無視して「スクラム」を選択し、トライで5点を狙いに行った。
その結果、あの歴史的な勝利につながったのだ。
通訳の担当者は、「ちゃんと通訳したのか!」とエディに胸ぐらをつかまれたらしいが……。
②日本代表に外国人選手が多いのはなぜ?
朝日新聞デジタルによると、今回選ばれた日本代表31人のうち、外国人選手は15人で過去最多だという。
ラグビーは国籍が関係ないスポーツだ。
日本ラグビーフットボール協会によると、15人制ラグビーにおいて、ある国の代表になるための条件は、
・本人がその国で生まれた
・両親または祖父母のうち1人でもその国で生まれた
・その国に3年以上住んでいる(2020年12月31日からは5年以上に改定)
いずれかが必要だ。
そのため、日本国籍を取得していなくても日本代表になることが可能となっている。
だが一度その国の代表になると、母国も含め他の国の代表になることはできない。
ラグビーはけがを負うことも多く、生半可な気持ちでその国を背負って戦うことができるスポーツではないことは確かだ。
③スクラムで組み合っているとき、ボールはどうなっているの?
スクラムとは、軽い反則が起きて試合が中断した後、再開する際のプレー。
しかし観戦していても、選手が何をしているのかが見えづらいのでは?
スクラムは両者8人ずつが、3列になって組み合い、スクラムハーフというポジションの選手が、スクラムの外から真ん中にボールを投げ入れる。
ボールが投入された瞬間、スクラムが始まり、選手は押し合いながら足でボールを味方の方へ搔き出す「フッキング」を行っている。
自陣の一番後ろの選手またはスクラムハーフにボールが渡るとプレーが再開される。
スクラムはラグビーを象徴する、超重要なプレーだ。
ほとんどのスポーツでは反則を犯すと、反則した側が少し不利な状態でプレーが再開するが、ラグビーではスクラムが強ければボールを奪い、有利に試合を再開できる。
ちなみにスクラム中、たびたびレフェリーが笛を吹いて中断するのは、故意にスクラムを崩したり、ボールが投入される前に押し合いが始まってしまうなどといった反則が起きているため。
プレー中にボールを持った選手がタックルされて密集しているのは「モール」「ラック」と呼ばれ、スクラムとはまた別の状態にある。