イギリス王室ほど、面白い帽子をかぶる人たちはいないかもしれない。
エリザベス女王やキャサリン妃を始め、ロイヤルファミリーの女性たちは、公の場で人目をひく帽子やファシネーターと呼ばれる頭飾りを身につける。
記憶に新しいのが、2011年のキャサリン妃とウィリアム王子の結婚式で、ベアトリス王女が身につけたファシネーターだ。
帽子とファシネーターは、頭を装飾する物という点は共通しているが、厳密にいえば別物だ。
帽子は頭を覆い、つばもついている。一方、ファシネーターは櫛やヘアクリップについたリボンや羽飾りだ。また、帽子は日光を遮るといった機能性を備えているが、ファシネーターは装飾が主な目的だ。
イギリスのエチケットコンサルタント会社のシニアアドバイザー、ダイアナ・マザーさんは「1950年代まで、女性が公共の場で髪を見せるのは良いことだと思われていなかった。そのため、帽子をかぶらない女性は見かけることはほとんどありませんでした。しかしその風習は変わり、いまでは帽子がフォーマルな機会に使われるようになっています」とBBCに語る。
また、デイリー・テレグラフ紙の元ファッション・ディレクターのヒラリー・アレクサンダー氏は「イギリス社会では、特別な日は帽子なしでは成り立ちません」とabcニュースに話す。
帽子やファシネーターはイギリスの文化の一部であり、ロイヤルウェディングで女性が帽子をかぶるのはエチケットなのだ。
アイルランド出身の帽子デザイナー、マリー・ガルヴィンはファシネーターについて、自分の富や社会的地位を誇示するためにつける人や、イギリスの伝統に従うためにつける人もいれば、自己表現のために楽しみとして身につける人もいる、とブライズ誌に語る。
また、女性たちは誰のファシネーターが一番かを密かに競っており、それが楽しいとガルウィンは話す。
■ ファシネーターはいつから始まった?
イギリスの上流社会で人気のファシネーター。しかし歴史を振り返ってみると、もともとファシネーターは、今とは全く違うものだった。
19世紀のファシネーターは、レースもしくはかぎ編みの頭用のショールであり、一般的にウールで作られた。
1930年代になるとファシネーターは、レースのかぶり物を指す言葉になったが、すぐにその意味では使われないようになった。ブリタニカ百科事典は、そう伝える。
1940年代にアメリカやヨーロッパの女性の間で人気を博したのが「ドールハット」だ。現在のファシネーターに近い形になってきている。
ブリタニカ百科事典によると、現代のファシネーターは、1950年と60年代に女性たちが身につけた「カクテル・ハット」とつながっている。
1970年と1980年になると、ファシネーターは上流ファッション界に登場して存在感を増すようになった。ファッションショーのランウェイでも、ファシネーターがみられるようになった。
そうやってファッションの一つとなったファシネーターや装飾のついた帽子は、結婚式だけではなく、イギリス王室主催の競馬でも身につけられている。
5月19日にウィンザー城で開かれるヘンリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式も、2011年のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式同様、ユニークな帽子とファシネーターで溢れるだろう。
イギリスのロイヤルファミリーと切っても切れない帽子とファシネーター。これまで王室の女性たちが身につけてきたこの装飾品を、写真で振り返ってみよう。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。