サッカーのカタールW杯で強豪アルゼンチンを破ったサウジアラビア。同国のムハンマド皇太子がお祝いとして、サウジアラビア代表全員に約6000万円のロールス・ロイス社の高級車をプレゼントするという噂が、世界中のSNSで拡散した。
現地の記者会見で質問を受けた選手が「事実ではありません」と苦笑する一幕があった。
■サウジの歴史的な大金星。翌日は「国民の祝日」に
メッシ選手が率いるアルゼンチンはFIFAランキングで世界3位の強豪。優勝候補の一角とみなされている。一方、サウジアラビアは51位で圧倒的な差があった。
しかし、11月22日のグループCの試合では2-1でサウジアラビアが逆転勝利を収めた。アルゼンチンに勝利するのはアジア勢で初めてだった。サウジアラビアのサルマン国王は、この歴史的な快挙を祝って翌23日を「国民の祝日」としたと報じられている。
■「皇太子からロールス・ロイスのプレゼント」世界をかけめぐった噂とは?
その後、さらに驚くべきニュースが世界をかけめぐった。王族からのお祝いはこれだけでなく、ムハンマド皇太子がサウジアラビア代表選手全員に、あるプレゼントするというものだった。
それはBMW傘下のイギリスの高級車メーカー「ロールス・ロイス」のファントムという車種だった。ファントムは日本では6050万円から発売されている。
この噂はインドの実業家やパキスタンの歯科医のツイートが発信源だった。CNNインドネシアなどが23日に報じたことで世界中のメディアも続々と報じたが、サウジアラビア政府からの公式発表は出ていなかった。
■「残念でしたね」と言われた選手が反論。「私たちは祖国のためにここにいます」
「アラブの王族すごい!」「さすがサウジ。スケールが違う」と驚く声が日本語圏でも広がっていた。しかし、この情報は事実ではなかったようだ。サウジアラビア代表選手が記者会見の場で否定したからだ。
「Goalサウジアラビア」の公式Twitterに掲載された動画によると、11月25日とみられる記者会見で、ジャーナリストからFWのサレハ・アルシェハリ選手に質問があった。アルシェハリ選手は対アルゼンチン戦では、後半3分に同点ゴールを決め、歴史的な勝利に貢献した人物だった。
「アルゼンチン戦で素晴らしい勝利を収めた後、全選手にロールス・ロイスのプレゼントが贈られたと聞きましたが、本当ですか?何色を選びましたか?」と英語で問われたアルシェハリ選手は「事実ではありません」と、苦笑した。
質問したジャーナリストが「それは残念でしたね」と重ねると、真顔になって、次のようにコメントした。
「私たちは祖国のためにここにいます。私たちは最善を尽くします。これが私たちの最高の成果です」