ビジネスシーンにおいて、リスキリングという言葉を耳にする機会が随分と増えた。
しかし実際のところ、日本でリスキリングを行っている企業はどれくらいあるのだろうか?
また、企業のリスキリングにおいて重視される勉強内容や、リスキリングの成果を実感している企業の割合などは、どのような状況なのだろうか。
パーソルイノベーション(株)Reskilling Camp Companyが展開する、リスキリング支援サービス「Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)」は、全国の企業に勤めるビジネスパーソンを対象に、リスキリング施策に関する定点調査を4半期ごとに実施している。第5回目となる最新調査の結果から、リスキリングの現在地を確認していく。
調査期間:2024年2月29日(木)~2024年3月1日(金)
対象人数:660人
※「Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)」は、2024年2月1日から「学びのコーチ」よりサービス名称を変更した。
リスキリング施策で最も重視されるスキルは?
調査では、リスキリングを実施する企業は引き続き右肩上がりで増加している傾向にあることがわかった。
所属企業において、「直近1年の間で、従業員のリスキリング施策に関する取り組みを行いましたか︖」という質問に「実施した」と回答した人の割合は、前回の40.9%から微増し、今回は43.0%となった。
企業規模別でみると、大企業では、「実施した」との回答は前回と変わらず57.3%、中小/スタートアップ企業では、今回は33.2%となり、引き続き大企業が先行してリスキリングに取り組んでいることが伺える。
また、所属企業が取り組むリスキリング施策において「重視されるスキルは何ですか?」という質問の回答は、1位は「データ活用(39.4%)」、2位は同率で「ITプロジェクトマネジメント(33.9%)」「セキュリティ(33.9%)」、3位は「リーダーシップ(33.6%)」となった。
リスキリング実施による平均学習時間は?
所属企業が取り組むリスキリング施策の成果実感について、「大きな成果が実感できた」という回答は12.3%にとどまり、前回の16.4%を下回る結果となった。
一方で「成果を実感できた」との回答は過去最多の59.6%に上り、リスキリング施策を行っている企業に勤める回答者全体の70%以上が、その成果を感じていることがわかった。
リスキリング施策における学習推奨時間については、回答者の64.3%が「定められている」と回答。1週間の学習推奨時間については「業務時間内で3時間以上~10時間未満」が39.3%で最も多かった。また、学習のタイミングに関する回答では「業務時間内」が75.8%と最も多かった。
リスキリング後の待遇は?
成果実感率も高いリスキリングは、働き手にはどのようなメリットがあるのだろうか。
リスキリング施策の実施に伴う優遇制度の状況について、回答者の44.0%が「一時的なインセンティブ付与」と回答した。また「リスキリング施策後の昇格(36.5%)」や「異動希望の受理(30.3%)」という回答も多く寄せられた。
成果実感別で優遇制度の状況を見てみると、成果を実感している企業では「リスキリング施策後の昇給」「リスキリング施策後の昇格」「一時的なインセンティブ付与」の実施率が80%以上であることが分かった。
今回の調査結果を受けて、 Reskilling Camp Company 代表の柿内秀賢さんは「リスキリングを上手に取り入れている企業の特徴を、さまざまな角度から確認することができました。OJTとOFFJTのバランスや業務時間中の学習推奨時間、かけている予算などの項目に、成果実感を掛け合わせた分析を行いました。本調査結果を各社での取り組み検討にご活用くださることで、日本のリスキリングの取り組みが前進します事を切に願います」と総括した。