イスラム過激派ボコ・ハラムのテロでナイジェリア北東部3州に非常事態宣言が出ているのですが、その中のアダマワ州では知事の不正がひどく、州議会から弾劾されて逃走中です。
プライベートジェット内の知事と愛人。news2.onlinenigeria.comより。
4人いる知事夫人の一人がラゴスの連邦高等裁判所で判事をしており、窃盗で告訴した通関業者が警察と当方を人権侵害で訴えた裁判で、当時のレートで30万円払えという判決を出しました。警察の拘留手続きに違反はなかったのに人権侵害だとし、告訴した私達にも責任があるとされたのです。
その州知事が問われている容疑の一部は:
●2012年と13年で予算の承認なく29億円と43億円を浪費。
●銀行から管轄当局の許可なく258億円を州に融資させた。
●ある建設プロジェクトで1億8千万円払ったのに何も実行されなかった。
●知事夫人の一人が関係する建設会社に48億円の詐欺的な発注をした。
最後の「知事夫人が関係する建設会社」は、私達が首都アブジャに買った家を、警察に告訴するまで8年も引き渡さなかった元下院議員の会社でした。勝手に賃貸して稼いでおり、引き渡すまいと放火。警察の仲介でしぶしぶ再建、引き渡しとなりましたが、2年半経った今も賃貸できないよう妨害し続けています。
離れた場所で起きた災難の登場人物がつながっていたのを発見して、ラゴスに潜伏しているかもしれないという知事の行方を追っていると、日本に言及した記事を見つけました。
日本政府が州都の水道プロジェクトに寄付した大型配水管が州外に転売され、ポンプ場で使う発電機2つは水資源局長の自宅と所有するホテルに設置されたというのです。
腐敗のひどい国では個別のプロジェクトに寄付しても、担当者が流用してしまうのでした。
知事の不正は任期満了を待って追及されることが多いのですが、現在、別の州でも知事が180億円の不正で弾劾手続き中です。行き過ぎた州財政の私物化が、少しは是正されるのかもしれません。
ナイジェリアは有数の産油国ですが、石油収入の恩恵が庶民に及ばず、衛生的な水が手に入らず電気も来ない村、青空の下や壊れた校舎で学ぶ生徒が大勢います。苦しんでいる人が助けを求めてくれば助けたいと思いますし、実際、何人かナイジェリアの親戚・知人に学費や治療費、生業資金を援助しました。
ただ、こんな記事を立て続けに見ると、日本の寄付で浮いた分、一握りの人がさらに潤っているのではないかと疑念が湧いてしまうのです。
●2013年1月、北部のカノ州に日本政府が300以上の校舎を寄付。
●同年8月、カノ州が北隣の国ニジェールにバイリンガル校を作り、生徒101人のフランス語学習に6億円支出。