新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが急速に浸透する昨今。ハフポスト日本版がコロナ後の働き方についてTwitterアンケートを取ったところ、「リモートワークが増えると思う」と答えた人は61.4%に。だが、「入社式からリモートで、社員と親しくなれない」「部下は何をしているのかわからない」なんて悲鳴が聞こえてくることも。
どうすればリモートでもチームワークを発揮し、生産性を高められるのか? リンクトイン日本代表、フルリモート企業の広報、2020年に新卒入社した若手社員の3人が、世代や立場を超えて話し合った。
◾新卒1年目、100%リモートワークのリアル
・大学院の修了式も、入社式もオンラインに
佐野さん(以下敬称略):コロナが蔓延し始めた頃、僕は建築学の修士課程を終えるところでした。修了式は急遽オンラインになり、4月に新卒入社してからも2ヶ月間は完全リモート。会社もサポートしてくれましたが、リモートなので先輩社員や他部署のことがわからない。同期にも会えないし、仕事の相談を誰にすればいいんだろう? と不安だらけで……。
村上さん(以下敬称略):私はグローバル企業に所属しているので、もともとオフィスでリモートワークをしているような状態だったんです。ただ、日本の顧客とは対面で仕事をしていたので、4月頃はオンライン会議への移行に注力しました。今は対面 、オンライン、両方を生かすという意味で、ビジネスのやり方がだいぶ変わったなと思っています。
・5年間全員がフルリモート。先駆け企業に聞く「課題」
小澤さん(以下敬称略):私が所属する株式会社ニットは「場所や時間の制限によって働けない人をなくしたい」との思いで5年前に立ち上げられ、現在、世界33カ国の約400人全員がフルリモートで働いています。おかげ様でコロナ禍でも事業や働き方に大きな問題はありませんでしたし、リモートワークに関する企業相談が増えました。
佐野さんのような新入社員はもちろん、 管理職もとても苦労しているんです。今までなんとなく「気合でいくぞ」とやっていたマネージャーは、「自分は何をしたらいいのか」と戸惑いがちです。雑談が生まれにくいのも課題ですね。
◾「ジャジャン!」効果音も駆使。リモートを成功させるコツ
・「雑談ルーム」や「バーチャル世界一周旅行」で交流
佐野:新入社員として雑談の大切さは強く感じています。同期と研修中、丸1日オンラインでつながっていた時は、自然と雑談から議論に発展したんです。今は、オンライン雑談部屋を設けてもらっています。上の世代の方とのコミュニケーションでは、「忙しいところ、こんな些細なことで連絡してもいいのかな?」など戸惑うこともありましたが、メンターをつけてもらってからは、小さなことも相談できるようになりました。
小澤:弊社では組織の交流を促すため、「オンライン・コミュニティ」と「オンライン社内イベント」を設けています。「オンライン・コミュニティ」は、業務に関する「ライティングスキルアップ」や「SNS運用情報交換」から、趣味や興味でつながる「吞兵衛の集い」「キャンプの会」まで、全26個。また、月に一度ほど開催している「オンライン社内イベント」では、「バーチャル世界一周旅行」「オンライン花見/運動会」などを実施しています。
・効果音で「盛り上げ」も管理職の重要スキル
村上:リモート時代、管理職の方のスキルアップが、労働力全体の課題です。特に日本だと、Teams会議とかで「誰がファシリテーションするんだ?」という空気になるんですよね。本来リー ダーは、社員がパフォーマンスを出せるようにリードしていくことが仕事。例えば雑談タイムに、こうやって(「ジャジャン!」という効果音を鳴らしながら)突然クイズを出して盛り上げるとかね。
一同:おー、面白い! 場が一気に和みましたね。
村上:リモートワークってこだわりがいがあって、僕みたいなオタク向きの環境でもあるんです(笑)。管理職こそ、誰よりツールを使いこなしてほしい。
◾「従業員がサボってる?」問題、答えは?
・リモートでサボってる奴はその前からサボってる
小澤 :管理職からは、「出社しないと、サボるんじゃないの?」という部下への不安も聞かれます。 例えば監視カメラをつけるとか、業務報告のために残業 させるとか、いきすぎた管理も問題です。
村上:僕の答えは1つ。「大丈夫だよ、リモートでサボってる奴はその前からサボってるから」です(笑)。そういう社員も管理職も含めて、マインドセットの持ち方からリモート時代の働き方まで、会社として新たな教育投資をしていけばいい。それが利益を上げるための近道なんです。
私たちが運営している「LinkedInラーニング」という教育サービスは、コロナ禍の日本で前年比2.6倍ほど利用が伸びました。「オンラインで効率よく共同作業 をするには?」といった人気コースを165時間分くらい無償開放(*)しているので、ぜひ活 用していただきたいです。(*詳細は文末)
・「成果物=仕事」の時代
佐野:サボるという話でいうと、僕は最初からリモートワークなので、出社が仕事ではなく「成果物=仕事」という考えです。最近オフィスもフリーアドレス制になって、もはや全員分の座席はないんです。とはいえ、細かい設計の話など、やっぱり対面の方がスムーズな時もあるし、リモートと出社の“いいとこ取り”が理想。コロナが収束したら、世界の建築現場からリモートワークやワーケーションをしてみたいです。
◾「コロナ前」には後戻りできない
小澤 :コロナによって「自分もリモートできるんだ」と気づいた人はたくさんいて、もう後戻りはできない。マネジメント層は、今後メンバーにどういう働き方をしてほしいのか、どういう企業のあり方にしていきたいのかを、見直していく時期だと思います。
村上:「9時から17時まで」と時間を預け、会社の言うことを聞いていればいい時代は終わりです。個人は、リモート含め働き方を自分で選択していく「キャリアの自立」が必要ですよね。
社会として見ると、 少子高齢化で人手不足の日本では、介護や子育て、 病との共生など、いろんな個人的チャレンジを抱えながら働くことが当たり前になる。多様性を認めたうえで、お互いにカバ ーし合うことが重要です。一部の職種を除いて、リモートワークという選択肢を持たない企業は、存続が危うくなっていく。働きやすい環境の選択肢を多く用意し、多様な人々が同じ目標を持って働けるよう組織づくりしていくことが、ひいては日本全体の生産性に繋がると思っています。
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リモートワークはこれまでの働き方の「延長」や「代替」ではなく、組織の風土を変え、イノベーティブな環境を構築するもの──。私たちは働き方そのものに対する意識を、大きく変えるタイミングに来ているのかもしれません。
新型コロナウイルスによる厳しい経済状況の中、自分らしい働き方と企業の持続可能な成長を実現するため、日本マイクロソフトとリンクトインは、求人件数が多い職種等に関するデジタルスキル習得支援策「グローバル スキル イニシアチブ ジャパン」を無償提供。さまざまなサービスを通じてソリューションを提示しています。
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リモートワークに関する無償コンテンツ
・「2,000 名のアンケートから見えてきた、リモートワークの今とこれから」
・「なぜ、わたしたちは今の“働き方“になったのか? 〜成功要因編〜」