わたしは、都内の会社に勤める新卒1年目。
もうすぐ入社して1年が経つ。この1年は、思っていた以上に苦しくて、思っていた以上にあっという間だった。
志望動機が言えないわたし
就活生だった頃のわたしは、「弊社でやりたいことは?」「志望動機は?」って聞かれるのが嫌すぎて、就活するのをやめた。
一生懸命、一生懸命、その会社でやりたいことを絞り出そうとしたけど、全く思い浮かばなかった。どの会社の仕事も興味がわかなかった。
就活が解禁しても、わたしは1社もエントリーしなかった。というより、できなかった。
周りは"サクサク"と何十社もエントリーをしていく。
SNSには、「次が最終面接だ!頑張るぞ!」って、自慢にならない程度を意識した自慢投稿が溢れ返る。タイムラインには、OB訪問の"素晴らしい"お礼と感想。
見たくもない情報が、わたしを急かすように流れてくる。
わたしは、「会社員向いてない」「働けないタイプだわ」なんて自分に言い聞かせて、就活しない自分を一生懸命正当化していた。
「やりたいこと=仕事」じゃない
わたしのやりたいことって、「海外の色んな国をぷらぷらしたい」とか、「毎日おいしくてお洒落なごはんが食べたい」とかで。
「仕事でやりたいことは?」と聞かれると、急にピンと来なくなる。
将来、「どんな生活をしたいか」「どんな人でありたいか」はぼんやりと頭の中にあるけど、「どういう仕事をしているのか」と聞かれると、なぜだか急に頭が真っ白になる。
そういう自分はダメ就活生なんだと思って、自信をなくした。自分って実は社会不適合者なのねって思って、しんどくなった。
「できない」が悔しかったわたし
小学生の頃のわたしは、一輪車のバック運転ができないのが悔しくて、毎日お昼休憩になると、一番に校庭に向かって走っていた。
毎回、バック運転で行けたところまで線を引いて、どれくらい距離が伸びたのか見るのが、とても楽しかった。
あるときは自転車に乗れない自分が悔しくて。土日も小学校の校庭までいって、先生にお願いしてまで練習した。何度転けても立ち上がって、わんわん泣きながら日が暮れるまで自転車に乗り続けた。
朝マラソンも、みんなが話しながらタラタラと走っているのに、なぜだかわたしは、毎朝毎朝全力疾走していた。その10分間で何周走れるのか、毎日自分と闘っていた。
昔からわたしは、とにかく目の前のことを頑張ってきた。
好きなことでも、やりたいことでもない。自転車が乗れるようになったらこんな世界が待ってるとか、どうしても勝ちたい「あの子」がいたわけでもない。
何のために自分が頑張っているのかなんて分からない。とにかく、できるようになりたかった。
どうなったら「できるようになった」かなんて定義も、ゴールもないくせに、ただただ、目の前の「できない」が悔しくて、いつだって一生懸命になってきた。
だから、「やりたいことは?」と聞かれると、すごく冷めてしまう。
わたしは今まで、「未来のやりたいこと」のために頑張るんじゃなくて、「今のできないこと」のために頑張ってきた。
目標や夢をハッキリもっていて、それを叶えるために自分のできることを積み上げていく逆算型の人もいるんだろうけど、わたしは目の前のできないことをとにかくたくさん潰していって、穴を埋めてきたタイプなのかもしれない。
「やりたい」がないまま就職したわたし
そんな就活生だったわたしも、色んな出会いがあって、今の会社に入社を決めた。なんだかんだで、もうすぐ1年経つ。
未だに、「会社でやりたいことは?」と聞かれても、ぱっとしない。
それに、驚くほどに、毎日毎日毎日毎日、できないことにたくさんぶつかる。楽しいというより、もはや悔しい。苦しい。しんどい。
だけど、できないことにたくさんぶつかれる会社だから、あの日「働かせていただきたい」と思った。
今の会社でやりたいことはまだないし、楽しめる余裕もない。だけどできないことがたくさんあるから、それを一つずつできるようにしていく。それが、今のわたしのやりたいこと。
周りから見ると、楽しい働き方ではないかもしれないけど、一生懸命になれる場所はここだから、本当にこの選択をしてよかったなあと思っている。
最近は、「できない」が「できる」に変わる瞬間も、本当に少しずつだが増えてきた。
「できる」を感じるときなんて一瞬で、また次の瞬間には「できない」が降ってきて、それを乗り越えるのに一生懸命になる。
たまに終わりが見えなくなるし、苦しいことの連続で気持ちが折れてしまいそうにもなったりする。
だけどいつか、わたしも「やりたいこと」を持つようになるかもしれない。もし「やりたいこと」が持てなくても、「これはできるようになりたい!」と思うことにぶつかるかもしれない。
そのときのために、自分の武器はたくさん持っていたいから、わたしは今日も、目の前の「できない」に一生懸命突き進んでいる。
#新卒リアル を書いてみたい
毎日もがきながら、泣きながら、気づけば1年があっという間に過ぎようとしている。
くじけそうになって、「もう会社辞めたいなあ」とツイッターをあさっても、そこにもちろん答えはなかった。
落胆する自分の姿に、本当は、わたしは会社を辞めたいんじゃなくて、だれかに明日からも頑張るエネルギーをもらいたかっただけなのかもしれないと気づき、更に自分が情けなくなる日々の連続だった。
たくさんのブログやインタビュー記事が溢れている今の世の中。だけど、大成功している人の過去をさかのぼった"苦労話"か、会社をすでに卒業した人の言葉ばかり見つかった。
頑張る覚悟もない。だけど辞める勇気はもっとない。
そんな今のわたしが、もがきながらもそれでも頑張りたいと思っているわたしたちが、明日からも頑張ろうと思えるように、わたし自身が、今の気持ちを少しずつ言葉にしていこうと思う。
今日もがんばっている、わたしたちのために。