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ラマダンはムスリムの「義務」とされていて、日の出から日没までの間、全ての飲食が禁止される。この期間は、飲食だけではなく、性行為や喧嘩、喫煙なども慎まなければならない。ラマダンは、神(アッラー)への忠誠心を高める時期であると同時に、「食事を満足に取れない貧しい人の気持ちを知り、他者への思いやりの心を呼び覚ます」という目的もあるという。
日没の後すぐの食事は「イフタール」と呼ばれ、家族や友人などと皆で食事を囲む。イスラム圏のモスクでは基本的に、イフタールは無料で振舞われる。東京ジャーミイも、ムスリム・非ムスリム問わず、無料でイフタールを提供している。
6日の日没時間は18時38分。時間が近付くにつれて、人々が続々とモスクに集まってくる。

そして、日没後の礼拝が始まった。
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
礼拝後はイフタール。皆、長い列を作って食事を受け取る。中には非ムスリムの日本人の姿もある。東京ジャーミイでは、ラマダンの期間内は、トルコから専任の料理人が来日し、トルコ料理が振舞われる。
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
東京ジャーミイに集まる人々のバックグラウンドは非常に多様だ。記者が話しただけでも、トルコ・シリア・エジプト・ドイツ・中国(新疆ウイグル自治区)・バングラデシュなどの出身の人が訪れていた。皆、知り合いに会うと抱擁し、近況を伝え合う。

日本人には「さぞ、辛いんだろう」と思えるラマダン。「実際どうなの?」そんな疑問を、この日東京ジャーミーを訪れていたトルコ人のアタライ・ビラルさんにぶつけてみた。ビラルさんは、6年前に日本に来日し、現在は千葉県の食品関係の企業に勤めている。
外から見ると「苦しそう」と思われるけど、実は世界中のムスリムは、ラマダンが来るのをすごく楽しみに待っています。終わるととても悲しくて、「また早く来年のラマダンが来ないかな」と思うくらい。ラマダン期間は普段より、家族や親戚・友人との時間を大切にします。みんなで祈って、ご飯を食べて、おしゃべりをします。だから、ムスリムにとってラマダンは、本当に楽しみな『お祭り』みたいなものなんです。
東京ジャーミイでは、予約をすればムスリム以外でもイフタールを食べることができる。イスラム教を少し身近に感じるきっかけになるかもしれない。ぜひ足を運んでみては。