楽天は4月30日、法人向けに販売していた新型コロナウイルスのPCR検査キットについて、「一時的に販売代理を見合わせます」と発表した。
この検査キットについては、日本医師会が「非常に大きな問題があると危惧している」と警戒感を示すなど、懸念の声が上がっていた。
楽天の発表によると、見合わせの理由は開発元の「ジェネシスヘルスケア」の経営体制の変更によるもの。楽天は「新体制下におけるコーポレート体制とコンプライアンス体制を再度、精査確認した上で、再開等の情報に関してお知らせいたします」としている。
楽天は、検査キットの販売代理を行うにあたり「PCR検査の技術・プロセス等を医療専門家とともに検証し、その結果精度に問題がないことを確認しておりました。また、厚生労働省とも相談し連絡を取りながら進められていることを確認した上で、提供開始を決定しておりました」と説明しており、キット販売については問題がなかったという立場を示している。
楽天の発表(全文)
「新型コロナウィルスPCR検査キット」販売代理について
楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下 「楽天」)は、ジェネシスヘルスケア株式会社(以下、「ジェネシスヘルスケア」)の「新型コロナウィルスPCR検査キット」(以下、「本検査キット」)の法人向け販売窓口を担っておりました。しかし、4月28日、同社の取締役会にて経営体制の変更が決議されたとの報告を受け、それに伴い一時的に販売代理を見合わせます。
新体制下におけるコーポレート体制とコンプライアンス体制を再度、精査確認した上で、再開等の情報に関してお知らせいたします。
楽天では、本検査キットの販売代理を行うにあたり、過去2.5カ月間にわたって、ジェネシスヘルスケアからの説明をもとに同社のPCR検査の技術・プロセス等を医療専門家とともに検証し、その結果精度に問題がないことを確認しておりました。また、厚生労働省とも相談し連絡を取りながら進められていることを確認した上で、提供開始を決定しておりました。
現在、日本では、社会インフラとして事業の継続が必要とされる職場においては、無症状の方が自分のリスクを知らずに行動することで感染拡大を生み、医療機関への負担が増す恐れがあると指摘されています。とりわけ、医療従事者、介護関係者、スーパー店員、物流関係者から、毎日多くの接触者がいることから、無自覚に感染を広げてるかもしれないという不安の声が多くありました。
症状がなく保健所の検査は受けられない人たちが多い中、全く何もしないことにより見た目上は元気な方が「出勤」し続けると、知らない間に感染を広げてしまうことになり、医療リソースを圧迫する可能性があります。このキットは、リスクがあって自宅もしくは楽天が自治体と連携することで実現できればホテルでの待機が望まれる方をいち早く把握することに役立ち、感染拡大の防止につなげられる可能性があると考えておりました。
また、無症状や軽症者の方々のために、「楽天トラベル」においても、社会貢献活動として、無償で自治体と宿泊施設による、受け入れを支援しております。受け入れ可能施設の調査から自治体との引き合わせ、受け入れ準備、受け入れ後の通常営業の運営に至るまで全面的に無償で支援しています。
現在までに、受け入れ可能な宿泊施設数と部屋数は、全国に835施設、109,341部屋(4月28日時点)となりました。
このたびは、急な変更により、関係各所に多大なご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ございません。
楽天は引き続き、医療関係者の皆様のご負担が少なくなるようできる限りの貢献をしていきます。そして日本が一刻も早くコロナ危機を脱することができるように努力を続けてまいります。