大統領就任を翌日に控えた1月19日、ジョー・バイデン氏は保健福祉省次官補にペンシルベニア州保健福祉省長官のレイチェル・レヴィン博士を指名した。
レヴィン氏はトランスジェンダーを公表しており、上院で承認されればアメリカ連邦政府で初めてのトランスジェンダーの高官が誕生する。
ペンシルベニア大学医学部の教授でもあるレヴィン氏は、2017年にペンシルベニア州のトム・ウルフ知事によって同州の保健省長官に任命された。
2020年に新型コロナウイルスがアメリカで拡大した後は同州で様々な感染防止対策を導入し、メディアに出演して州のガイドライン遵守や外出禁止の要請、マスク着用を呼びかけてきた。
バイデン氏は、こういったレヴィン氏の新型コロナ対策への手腕を高く評価したとみられる。
同氏の指名についてバイデン次期大統領は声明で「レイチェル・レヴィン博士は、居住地や人種、宗教、性的指向、性自認、障害に関係なく、全ての人のパンデミックを終わらせるのに必要なリーダーシップと専門知識をもたらすでしょう」「彼女は政権の健康福祉政策に必要な、歴史的で非常にふさわしい人選です」と述べ、期待を寄せている。
新型コロナウイルス対策だけではなく、レヴィン氏は、LGBTQの人たちの攻撃に毅然と立ち向かう姿も注目されてきた。
ペンシルベニア州では、新型コロナウイルスの感染対策の強化とともに、レヴィン氏の性自認に対する侮辱や攻撃が目立つようになった。
これに対しレヴィン氏は2020年7月「(差別や侮辱は)私に対する不満の表現だと思っているのかもしれません。しかし実際には、ペンシルベニアの大勢のLGBTQの人たちを傷つけています」と述べて、LGBTQ当事者への侮辱や攻撃をやめるように強く訴えた。
バイデン氏は保健福祉省長官に、ラテン系アメリカ人でカリフォルニアの司法長官のハヴィエル・べセラ氏を任命している。
承認されれば、べセラ長官のもとでバイデン新政権が力を入れる新型コロナ対策に取り組むことになる。