ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創始者・プリゴジン氏は、ロシア南部ロストフ州の州都「ロストフ・ナ・ドヌ」の全軍事施設をワグネルの部隊が制圧したと主張した。事実であればロシア国内で内乱が発生したことになる。この直後、プーチン大統領は国民向けのテレビ演説で「私たちが今直面しているのは反逆だ」として、ロシア軍に鎮圧を命じたことを明らかにした。
■プリゴジン氏、ワグネルの部隊がモスクワに向かうと主張
ワグネルはロシア軍のウクライナ侵攻に加担してきたが、ロシア国防省の支配下に入るように命じたショイグ国防相との間で対立が生じていた。
ウクライナ・プラウダなどによると、プリゴジン氏は6月24日にSNSにビデオメッセージを投稿。飛行場を含むロストフ・ナ・ドヌの全ての軍事施設はワグネルの部隊の支配下にあり、3機のロシアのヘリコプターを撃墜したと主張。ゲラシモフ参謀総長とショイグ国防相を捕らえるために、この都市に来たと述べた。また、ワグネルの部隊が首都モスクワに向かう意向を明らかにした。
■「我々は反逆に直面している」とプーチン大統領
英紙ガーディアンによると、プーチン大統領は同日、国民向けの緊急テレビ演説を開始。以下のような内容を訴えた。
「我々は反逆に直面している」
「反逆の道を歩んだすべての人は罰せられ、責任を問われる。軍隊は必要な命令を与えられた」
「武装反乱を組織した者は責任を問われるだろう。これに巻き込まれた者は、犯罪行為をやめるよう呼びかける」
【UPDATE】
ロイター通信によると、ワグネルは首都モスクワに向けた進軍を中止し、流血の事態は避けられることになった。
ロシア大統領府のペスコフ報道官の話では、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介した結果、ワグネル創始者のプリゴジン氏への捜査は取り下げられ、本人はベラルーシに移動することになった。また、武装蜂起に参加したワグネルの戦闘員も責任に問われないことになったという。
アルジャジーラによると、プリゴジン氏は音声メッセージの中で、ワグネルがモスクワまで200kmまで迫っていたと話していた。(2023/06/25 10:25)