ウクライナ国境に近いポーランドの村で11月15日午後に爆発が起き、2人が死亡した。ポーランドのドゥダ大統領は、決定的な証拠はないとした上で「ロシア製のミサイルである可能性が最も高い」と16日に述べた。
ポーランドは30カ国が加盟する欧米の軍事同盟「北大西洋条約機構」(NATO)の加盟国。BBCによると、NATO加盟国にロシア製のミサイルが着弾したのだとすれば初めてのケースとなる。NATOの対応が注目される。
■ウクライナ全土がミサイル攻撃を受ける中で、ポーランドでも爆発
ポーランド外務省は15日の声明の中で、同日午後3時40分、ウクライナとの国境から約6キロ離れたポーランド東部の村「プシェボドフ」にロシア製のロケット弾が落下。市民2人が死亡したと報告した。地元ラジオ局「ZET」によると爆発があったのは、穀物を乾燥させる施設だという。
この日、ロシア軍はウクライナの首都キーウや西部のリヴィウなどウクライナ全土を標的にミサイル攻撃していた。
ロイター通信によると、ドゥダ大統領は16日に記者団に対して、「現時点では、誰がこのミサイルを発射したのかを示す決定的な証拠はありません。ロシア製ミサイルの可能性が最も高いが、まだ調査中です」と述べたという。
一方、ロシア国防省は15日のSNSへの投稿で「ウクライナとポーランドの国境付近を攻撃していない」として、関与を否定している。
BBCのポール・アダムズ外交担当編集委員は、いくつかの可能性を指摘している。ロシアにはポーランドを攻撃する理由がないため、何らかの動作不良だった可能性がある。このほか、ロシア軍のミサイルを次々とウクライナが迎撃していたため、迎撃によってロシアのミサイルの軌道がそれてポーランドに着弾した可能性もあるという。
■「北大西洋条約第4条」とは?NATO理事会でポーランド大使が発動要請も
また、ドゥダ大統領は17日にベルギーのNATO本部で開催される北大西洋理事会の会議にポーランド大使が出席することを明らかにした上で、「大使が北大西洋条約第4条の発動を要求する可能性が高い」と述べた。
日本外務省の資料によると、北大西洋条約第4条は「締約国は、領土保全、政治的独立又は安全が脅かされていると認めたときは、いつでも協議する」という内容だ。
一方、同条約の第5条では「一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなす」として、「兵力の使用を含む行動を直ちにとる」としている。
【UPDATE】AP通信などによると、アメリカのバイデン大統領は11月16日、ポーランドに着弾したミサイルについて「軌道から考えると、ロシアから発射されたとは考えにくい」という見解を示した。インドネシアでG7とNATOの緊急首脳会合を開した後、記者団に対して語った。(2022/11/16 14:45)