6月は、LGBTQのコミュニティを祝福し、彼らの功績を称えるプライド月間。
初日となる6月1日、アメリカではバイデン大統領が「私たちはアメリカのLGBTQ+の人たちの重要な貢献を称えます。彼らと連帯して、差別や不平等に立ち向かう」とLGBTQの人たちの平等な権利実現に尽力することを声明で発表した。
また、ホワイトハウスのSNSアカウントでも、プライド月間を祝った。
ストーンウォールの反乱からの前進
プライド月間は、 1969年6月28日にニューヨーク・マンハッタンで起きた「ストーンウォールの反乱」に敬意を表して制定された。
この日、マンハッタンのグリニッチ・ヴィレッジにあったゲイバー「ストーンウォール・イン」を警察が取り締まろうとしたことに、ゲイ当事者や活動家が反発。6日間にわたり暴動へと拡大した。
このストーンウォールの反乱がきっかけとなり、LGBTQの権利を求める世界的な運動が広がったと言われている。
1969年当時に比べて、LGBTQ当事者の権利は大きく向上してきた。
アメリカでは最高裁で2015年に同性同士の結婚が憲法上の権利として認められ、2020年には職場での性的指向・性自認に基づく差別が違法と認められた。
こういった目覚ましい前進が実現したのは、平等な権利のために闘ってきたLGBTQ当事者たちがいるからだ。バイデン大統領は「LGBTQ+のコミュニティはアメリカで目覚ましい進展を達成してきた」と、性的マイノリティの人たちや家族、支援者を祝福している。
その一方で、バイデン氏は今でもLGBTQの人たちの人権や尊厳が守られていない現実があることを指摘し、「トランスジェンダー女性に対する暴力が増えており、いじめやハラスメントにさらされた若い当事者たちが、自分を傷つけ、時には自死につながることもある」と述べた。
現在アメリカの一部の州では、トランスジェンダー女性の学生アスリートが女子チームでプレーするのを禁じたり、トランスジェンダーの若者にホルモン治療や性別適合の医療を施すことを禁じたりする法律が作られている。
バイデン氏はこの動きを「あらゆる人を受け入れ、自由を重んじるアメリカの価値観に反する」と非難。
LGBTQの人たちへの暴力と差別を終わらせるために「大統領として、私は全てのLGBTQ+の人たちの権利擁護に全力で取り組む」と述べた。
LGBTQ+の人たちの功績を称えよう
2021年1月に大統領に就任して以来、バイデン氏はLGBTQの人たちの権利を守る姿勢を示してきた。
就任初日には、性自認や性的指向を理由にした差別を禁止する大統領令にサインし、その後トランプ政権が定めたトランスジェンダーの人たちの入隊禁止も撤回した。
また、バイデン政権では多くの性的マイノリティの人たちが活躍しており、ホワイトハウスによると、大統領に任命された連邦機関の高官など約1500人のうち、14%がLGBTQの当事者だ。
その中には、同性愛者であることを公表した初の閣僚であるピート・ブティジェッジ運輸長官や、トランスジェンダーのレイチェル・レヴィン保健福祉省次官補も含まれる。
バイデン氏は、自身の政権がLGBTQ当事者の権利を守る決定をしたことを誇りに思うと述べる一方で、本当の意味での平等を実現するためには、法律でLGBTQの人たちの平等を定めるべきだとして、「LGBT平等法(イクオリティアクト)」の承認を連邦議会に求めている。
LGBT平等法は、教育や職場、公共施設、住居など、生活の様々な場面で性的指向や性自認を理由にした差別的取り扱いを禁じる法律だ。
さらに国内だけではなく「LGBTQの人たちの権利は人権だ」として、世界中でLGBTQの人権擁護に取り組むとも述べている。
そしてプライド月間の1カ月間、「LGBTQ+の人たちの功績を称え、アメリカの人たちの多様性を祝い、プライドの旗を掲げよう」と呼びかけた。