「自分の人生をどう生きるかの選択に、罰を下すのはおかしい」同性愛を未だ犯罪とする国、チュニジアの最年少議員、ハウラ・ベン・アイシャ

ハウラ・ベン・アイシャは、ゲイのチュニジア人に適用されるソドミー法の改正を望んでいる。
Yassine Bellamine

Photos by Yassine Bellamine

(チュニジア・チュニス発)ハウラ・ベン・アイシャは、最年少議員として初めてチュニジア議会の一員になったとき、自国の時代遅れのLGBTQ法に挑むことを誓った。

彼女は議員になってからの5年間、同性愛を依然犯罪と見なし、屈辱的なアナルテストを強要する刑法への反対を辛抱強く働きかけてきた。

現在31歳のハウラは、長期にわたり政権を敷いたザイン・アル=アービディーン・ベン・アリー大統領が2011年に失脚したのを受け、進歩的なチュニジアを創造しようという新世代の政治家の1人だ。

(インタビューはハフポストUS版が一部編集しました)

■ 法改正はLGBTQコミュニティにとって、どんな意味がありますか?

チュニジアでは、ゲイと見なされた人には2つの選択肢があります。野蛮な習慣であり、人権や尊厳を踏みにじるアナルテストを受けるか、拒否するかです。

拒否すればゲイと見なされ、何の証拠もないのに、ソドミー法が適用されて裁かれます。刑法の改正は、性的指向による有罪判決の数を減らす一助となるでしょう。

個人の生活を希望通りに送ってもらうことで、これらの人々を守るのが私たちの務めです。

■ 同性愛を理由とした逮捕がとても多いのはなぜですか?

今やアナルテストを通り越し、逮捕するために個人的なメッセージや写真、データを押収しています。

最近、1人の若い男性が警察署の外でセルフィーを撮影したところ、すぐに警察に写真を押収されました(警察署や軍の駐屯地を撮影することは禁じられているため)。警察は彼に警察署へ行くことを要請し、その後解放する代わりに、個人的なメッセージや写真を調べ、ボーイフレンドの写真を見つけました。元々は単に写真を撮影したことで拘束されたのにもかかわらず、同性愛で有罪となりました。

本当にばかげています。

性的指向で人を判断するのは、民主主義の根幹と相容れない行為です。一番基本的な、自分の人生をどう生きるかの選択に対して、どうして罰を下せるというのでしょうか? これらの選択は完全に個人的なものであり、誰にも影響を及ぼしません。

良心の自由や信教の自由、身体的尊厳などを脅かすものです。

■ チュニジアの国会議員はなぜ、いまだに法律を変えていないのですか?

私たちは保守的な社会、少なくとも表面上はそのような社会に生きています。

チュニジア社会は伝統的な部分と現代的な部分に分かれていますが、同性愛を処罰の対象から外すという問題は政治家のみならず、広く社会を分断しています。

同性愛に関する人間の基本的信条に挑戦すれば、私たちの目指すものは壊れてしまうでしょう。もしそのようなことをすれば、計り知れない抵抗が示され、法案は2度と日の目を見ることはないでしょう。

私としては、身体や精神への尊厳の侵害を焦点にすることが、チュニジアで同性愛を免罪とするのに最適の方法だと思っています。すべては表面的にどう見せるか、です。

「政治は可能性の芸術」だと言われます。とにかく一歩ずつ進展していくことが必要です。この戦いは、一人ひとりの戦いにより勝利できるでしょう。

50年前の6月、ニューヨーク市のあるバーで暴動がおきた。警察によるLGBTQの人の理不尽な取り締まりが発端となった反乱は、事件があったバーの名前をとって「ストーンウォールの反乱」と呼ばれ、その後に続いた抵抗運動はやがて世界を、そして歴史を揺るがした。

私たちは今、ストーンウォールの後の世界を生きている。

アメリカでは2015年に同性婚が認められた一方で、現在トランスジェンダーの人たちの権利が大統領によって脅かされている。日本ではLGBTQの認知が徐々に広がっているが、学校のいじめやカミングアウトのハードルがなくならない。2019年のバレンタインデーには同性カップル13組が同性婚の実現を一斉提訴し、歴史的一歩を踏み出した。

6月のプライド月間中、ハフポストでは世界各国で活動する次世代のLGBTQ変革者たちをインタビュー特集で紹介する。様々な偏見や差別がある社会の中で、彼らはLGBTQ市民権運動の「今」に取り組んでいる。「Proud Out Loud」ー 誇り高き者たちだ。ハフポストは心から彼らを誇りに思い、讃えたい。

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