成人式の今月1月13日、グローバルヘルス業界にとって大きな朗報が入った。
インドが、2011年からの過去3年間のポリオ発症ゼロを達成したのだ。これは、世界保健機関(WHO)が定める「ポリオ根絶」の条件を満たしたことになる。
WHOは、3月にもインドを含む南東アジア地域をポリオ根絶地域と認定する見込みだ。
2000年に日本の尽力によってポリオ根絶地域となったWHO西太平洋地域、そして、2002年のWHOヨーロッパ地域に続く快挙である。
インドは、ポリオ根絶が世界で最も難しい国だと見られていた。たった5年前、2009年には、インドは世界最大のポリオ発症国だったのだ。しかし、翌年の2010年にはインドからポリオが一掃された。そして、今回それを3年連続で維持したのだ。
インドという国の大きさや社会経済状況を考えると、驚くべきことである。
インドは日本のおよそ10倍の広大な国土を持ち、10億を超える人口を抱えている。地域によって文化も宗教も異なり、世界で最も厳しい地形と気候にさらされている地域や治安に問題のある地域もある。
インドの快挙は、そのような環境でも特定の病気を根絶することが可能なことを示した。
今回、インド政府やそのパートナーは、まずポリオを根絶することにコミットし、20億ドル近い投資を行った。
インドでは毎日7万5千人の子供が生まれる。充分な免疫力をつけるには、子供ひとりにつき3回以上の予防接種が必要だ。そこで、国の定めた集団予防接種期間には、230万人ものボランティアが参加し、家から家を回って子供たちを見つけてはワクチン接種を行った。
さらに33,000もの報告地点からなるネットワークを設立し、感染者の早期発見につとめた。
これから学べることは、世界最高のサイエンスと強い政治的意思に資金力が加われば、ポリオを撲滅できるということだ。
ポリオを撲滅するには今しかチャンスは無い。残りの常在国からポリオを撲滅しなければ、そこからの感染によってポリオを根絶した国でいつ再発が起きてもおかしくない。
インドの今回の快挙は、根絶が困難と見られる残りの地域でも、根絶が可能であることを我々に教えてくれたのだ。