このところ、伊達眼鏡の売れ行きが好調なのだとか。眼鏡ショップでその需要が伸びているだけでなく、近年はアパレルのショップでも眼鏡を扱うところが多くなりました。ショップのオリジナルフレームでも産地にこだわっていたり、買ってすぐ掛けられるようあらかじめ伊達眼鏡用のレンズを入れて販売しているところも増えたように思います。人気のPC用眼鏡も、伊達眼鏡の一つだと言えるでしょう。
私たち日本人は"伊達眼鏡"と聞くと「度なしのレンズが入った眼鏡」をすぐに思い浮かべますが、たとえばアメリカでは"伊達眼鏡"に相当するような単語はなく、英語だと「Non-Prescription Lenses(処方なしで買えるレンズ)」といったような言い方しかないそうです。では、そもそもなぜ度なしの眼鏡が伊達眼鏡と呼ばれるようになったのでしょうか。
伊達と聞くとやはりまず伊達政宗が浮かぶわけですが、調べてみるとこの「伊達」を"粋"や"洒落ている"といった意味で使うようになったのは、伊達政宗の家臣達が華美な服装で人目をひいていたから、という説が有力だそうです。もともと「だて」は「ことさらそのように見せる」「いかにもそれらしく見せる」といった意味を表す接尾語の「だて(立て)」が語源で、この接尾語が室町末期頃から名詞や形容詞として独立したのだとか(語源由来辞典)。この説に従えば、「だて」の意味が伊達政宗のエピソードとマッチしたことから、「伊達」の漢字が当てられるようになったのかなと推測できます。誰がいつ頃言い始めたのかはわからないのですが、「実用ではなく、外見を飾るための眼鏡」「それらしく見せた眼鏡」という意味で使われるようになったのでしょう。もし詳しく知っている方がいれば、ぜひ教えていただきたいところです。
かくいう私も、伊達眼鏡ユーザーです。今では約80本あるフレームのうち、6割以上が伊達orサングラスという状態。視力が0.03という強度近視なのでコンタクトの併用は必須ですが、伊達眼鏡なら価格も抑えられ、レンズの厚みも気にしなくて良いので、よりフレームの選択肢が広がります。
そう、伊達眼鏡の魅力はその自由度の高さにあるんです!
度付きだと目が小さくなってしまう、レンズの厚みや重さが気になる......などなど。これらは眼鏡を敬遠する人が主にその理由とするものですが、伊達眼鏡ならこれらのストレスからも自由になることができます。日常的に使うものでなければ、普段よりも少し冒険した色やデザインのフレームに挑戦してみるのもいいでしょう。
女性も男性も、そして視力が良い人も、気軽に身につけられるアクセサリーの選択肢の一つとして、ぜひ楽しんでほしいなと思います。
いやいや、そこまでして眼鏡を掛けなくても......と突っ込みを受けそうですが、じつは伊達眼鏡をお勧めしたい理由はほかにもあります。なぜなら、伊達眼鏡の効果は見た目の要素だけにとどまらないからなんです。
まず一つに、紫外線から目を守ることができます。じつは目が紫外線を受けると、脳からの刺激によって皮膚の細胞がメラニン色素を作り出してしまい、日焼けしやすくなってしまうのだとか。UVカット効果のあるものなら、クリアレンズでも紫外線をカットすることが可能です。伊達眼鏡なら、サングラスと違いビジネスシーンでも掛けることができますよね。
また先ほども触れた、PC用レンズと言われているブルーカットレンズなら、眩しさやちらつきの原因となる青色光がカットでき、個人差はあれPC作業がラクに。PC用眼鏡は出来合いのものも多いですが、自分のお気に入りのフレームにブルーカットレンズを入れることもできます。
ちなみに、「デモレンズ」と呼ばれるダミー用のレンズ(ブランドロゴが入ったものなど)が入った眼鏡をそのまま掛けていると、視界が歪んだりなどして目の疲れの原因となってしまうのでご注意を。
目は「むき出しの臓器」、とも言われたりします。ぜひ目の保護も兼ねて、伊達眼鏡を楽しんでみてはいかがですか?