「同性愛者には家族になる権利がある」。フランシスコ教皇が、同性カップル家族は法的に守られるべきだと発言

発言はLGBTQの人たちの平等に向けた大きな一歩になる、と喜びの声があがっています
フランシスコ教皇(2020年10月14日)
フランシスコ教皇(2020年10月14日)
ALBERTO PIZZOLI via Getty Images

「同性愛の人たちには、家族の一員となる権利があります」。

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が、同性カップルに法的権利を与える「シビルユニオン」を支持する発言をした。 

シビルユニオンは婚姻に準じる法的制度で、結婚と同等の法的権利を同性カップルに保障する。

フランシスコ教皇が、シビルユニオンについて発言したのは長編ドキュメンタリー「Francesco」のインタビュー。ローマ国際映画祭で10月21日に上映された。

カトリック・ニュース・エージェンシーによると、フランシスコ教皇は次のように語った

「同性愛者には、家族の一員となる権利があります。彼らは神の子で、家族を持つ権利があるのです」

「誰かを家族から追い出したり、それによって誰かの生活が惨めなものになるようなことがあったりしてはいけません。私たちに必要なのは、シビルユニオンの法律です。それにより、彼らは法的に守られます。私はそれを支持します」

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フランシスコ教皇はブエノスアイレス大司教時代に、同性婚に反対する一方でシビルユニオンを整備して同性カップルの権利を法的に保護する必要があると訴えた

また2013年に教皇になった直後に、同性愛の聖職者についてどう考えるかを聞かれた際には、「誰かがゲイで、そして彼が神を求めているのであれば、それは私がどうこう言うべきことではありません」と答えている

フランシス教皇の発言を、様々なLGBTQサポート団体が歓迎している。

LGBTQのカトリック信者のための団体「ディグニティUSA」エグゼクティブ・ディレクターのマリアンヌ・ドュディ・バーク氏は、次のように述べ、教皇の発言は世界中に影響を与える可能性があると期待を示した。

「教皇のコメントはLGBTQIの人たちの平等のための大きな一歩になるでしょう」

「発言によって、世界中にある、LGBTQIの人たちの受け入れを阻む障害物を取り除くことができます。特に、LGBTQIの人たちが差別や暴力にさらされている場所ではそうだと言えます」

ヒューマン・ライツ・キャンペーンのアルフォンソ・デイヴィッド代表も、「発言は、カトリック教会のインクルージョンと寛容のための素晴らしい一歩。そして、LGBTQのカトリック教徒に、信者であることとLGBTQ当事者であることは矛盾しないと伝えました」とツイートしている。

教皇の発言に反発する人もいる。AP通信によると、ロードアイランド州のトーマス・トビン司教は「教皇の発言は、教会がこれまでずっと教えてきたことと矛盾する」と述べ、教皇の発言を支持しない姿勢を示した。

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「Francesco」は気候変動や貧困、移民、人種や経済的な不平等など、様々な社会問題をフランシスコ教皇の視点から考えるドキュメンタリーだ。

監督したエフゲニー・アフィニスキー氏は、フランシスコ教皇はカトリックの教義を変えようとしたのではなく、同性愛者も異性愛者と同じ権利があるという彼の信条を語った、と説明している。

同性婚やシビルユニオンは、同性カップル本人だけでなく彼らの子どもの権利保護にとっても必要な法的・社会的制度だ。

フランシスコ教皇は結婚については「一人の男性と女性によるもの」という見解を示しているものの、カトリックの最高指導者である教皇の「同性愛者の家族を法的に守るべき」という発言が、特にカトリック教徒が多い国でLGBTQ当事者の平等や権利保護につながることが期待される。

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