03 だから政治は嫌われる
04 皆が一致していないのは当たり前の社会
05 少数者しか世界を変えない
06 格差は悪くない。大事なのははしごがかかっているかどうか
07 がまんできない大人たち
08 手紙を書いても人間関係は続かない
03 だから政治は嫌われる
田中:投票率の話なんですが、カテゴリー分けやレッテル張りをするのがよくないと思っていて。
今、僕が感じているのは、「政治」というカテゴリーにわかれている。わけすぎていて、政治と聞くと「うっ」となってしまう人が少なからずいます。
本来なら別に政治は社会を良くするためにあるただそれだけのものの気がするんです。
その原因って、若い人もそうですが、「政治を知っている自分がかっこいい」というためのツールにすぎなくて、わざわざ難しい言葉を使ったりしている気がします。
政治は頭の良い人だけがやるものだ、と。私たちは社会のために何をするかが第一で、政治はあくまでそのための手段ではないかと思うんです。
出口:まさにその通りです。そもそも政治って何ですか? 政治ってめちゃ簡単で、世界の共通項は、皆で払う税金をどうやって分けたら、みんながハッピーになるか、ということですよね。
みんな税金は払っていますよね。払っていたらできるだけ上手に使ってほしいとは思わないのですか?
田中:思いますね。
出口:まず選挙とは何か、民主主義とはどういう制度か、原理原則をきちんと学ぶことが先決です。
例えば、レストランに行って、お金を出してご飯を食べますよね、料理はレストランに任せると言って、まずいものが出てきたら平気ですか?
田中:嫌ですね、自分で選びたいですね。
出口:嫌でしょう。レストランで注文する時は、「オムライス食べたい」とか言いますよね。
デパートに行って1万円出して、「どんな服でも着ますから売ってください」とか言う? 言わないでしょう? サイズが合わないとか嫌でしょ。
どうして税金には注文しないのですか? 同じ話ですよね。僕は税金を払っているんだから、このように使ってほしいとか、この人に決めてほしくないとか、政治もこれと同じだと腹に落ちれば行動できるのですが、そこを曖昧にして考えないから、政治に対する興味がなくなっていく。だから政治を担っている人にとっては天国ですよね。
田中:投票率が上がらず、選ばれ続けますもんね。
出口:政治も普通の消費行動と同じなんです。そこを若者がもっと主張すべきです。
日常事、自分事として感じてもらうためには、発言していくしかないんです。言わなければ分からないから。
田中:政治に興味ないとか言っている人に限って、文句を言いますよね。
出口:そう(笑) クレーム代わりに投票すればいい。投票に行かないと、批判と結びつかないですね、これがリテラシー。
田中:当たり前のように私たちは消費税払っていますからね。
出口:投票に行かないとか政治に興味ないと言っている人は、レストランでお金を払っているのに、何が出てきても文句を言わない人と一緒です(笑)
そんな人いないんだから、普通に行動すればいい、そういったことをプロセスを含めてきちっと教えることが大事。それが先進国です。
田中:わかっていないからこそ、分断していきますね。
出口:そう。みんなが分断されて好きなことをやっていてくれたら政治家は楽だから。
田中:いろんな人に聞いてしまうのですが、出口さんはリテラシーを高めたり、仕組みを変えるために、国会議員になるという手段は選ばないのですか?(笑)
実行者になることは違う側面で非常に大変だとは思いますが。
出口:僕は政治家には全く興味がないのです(笑) ただ市民のリテラシーをあげてほしいと思うから本を書いたり講演会をしたりしています。10人以上ならどこへでも行きます。
ぼくは古希になって孫が2人いるのですが、2人の顔を見るたびにこの子たちのために少しでも良い社会にしたいなと思って発信しています。
04 皆が一致していないのは当たり前の社会につづきます。
(田中將介インタビューサイトより転載) (写真:小野瑞希)