「赤ちゃんを救いたい」と銀メダルを出品⇒落札した企業が受け取らず「寛大な行動に心を動かされた」

自らも病を経験して、銀メダルに輝いたポーランドのマリア・アンドレイチク選手。生後8カ月の赤ちゃんを救うために、メダルを出品していました

東京オリンピックで手にした銀メダルをオークション出品したポーランドのマリア・アンドレイチク選手に対し、落札した企業がメダルを同選手から受け取らないと発表した。

アンドレイチク選手は、生後8カ月の赤ちゃんの手術費用を捻出するために、やり投げで獲得した銀メダルをオークションに出品していた。

東京オリンピックで銀メダルに輝いたマリア・アンドレイチク選手(2021年8月7日)
東京オリンピックで銀メダルに輝いたマリア・アンドレイチク選手(2021年8月7日)
Xinhua News Agency via Getty Images

最後の希望、私も手助けしたい

アンドレイチク選手が、赤ちゃんの手術費用を集めるためにメダルのオークション出品するとFacebookで発表したのは、8月11日だった。

赤ちゃんには、総肺静脈還流異常という先天的な心臓疾患があり、アメリカで手術を受けるための費用を集めていた。

ESPNによると、アンドレイチク選手は「ある家族がすでに手術費用の半分を提供してくれている」と説明。

その家族は、自分たちの子どもも手術が必要で費用を貯めていたが、子どもは手術を受ける前に亡くなったという。

アンドレイチク選手は、「私も何か手助けしたい」とオークションで手術の残り半分の費用を捻出したいと呼びかけた。

手術の募金を呼びかけるページによると、赤ちゃんは現在自宅でホスピスケアを受けており、症状が悪化している。

また、ヨーロッパで手術できる病院が見つからず、アメリカ・カリフォルニア州にあるスタンフォード大学メディカルセンターが最後の希望だという。

募金を呼びかけるページ
募金を呼びかけるページ
siepomaga

自らも苦難を乗り越えて手にした銀メダル

アンドレイチク選手の銀メダルは、ポーランドのコンビニエンスストアチェーン「ジャプカ」が、12万5000ドル(約1370万円)で落札した。

アンドレイチク選手は8月16日に「これでアメリカに行くことができる」と感謝のコメントを投稿

メダルは自分自身にとって「多くの困難がある中での、苦しみや信念、夢を追うシンボル」であり、ジャプカにとって「メダルが、私たちが共に闘ったシンボルになって欲しい」とつづった。

しかし、落札したジャプカは、銀メダルを受け取らなかった。

ジャプカはSNSで「オリンピック選手の美しく寛大な行動に、私たちは心を動かされました」「素晴らしい人間であることを示したマリアさんの手元に、銀メダルを残すことを決めました」と伝えた。 

東京オリンピック・やり投げに出場したマリア・アンドレイチク選手
東京オリンピック・やり投げに出場したマリア・アンドレイチク選手
Xinhua News Agency via Getty Images

アンドレイチク選手は、2016年のリオオリンピックで、わずか2センチの差で銅メダルを逃した。

その後、2018年に骨肉腫と診断され、怪我にも苦しんだが、闘病を経て復帰した東京オリンピックで銀メダルに輝いた。 

NBCによると、同選手はユーロスポーツ・ポーランドに「メダルの本当の価値は、いつも心に残っている」と語り、オークションに出品した理由を次のように説明した。

「メダルはただの物ですが、他の人にとっては素晴らしい価値があります」

「クローゼットの中でホコリを集める代わりに、この銀メダルは人の命を救うことができるのです。だから私は、病気の子どもを救うために、オークションに出品しました」

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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