イングランド南部ドーセット州の崖から、約1億5000万年前に生きていたとされる「巨大な海の怪獣」プリオサウルスの頭蓋骨が発見された。
その大きさや保存状態から、科学者たちは「これまでにない発見」だとしている。
プリオサウルスは、巨大な頭や強力な顎、大きな歯を持つ肉食の大型海生爬虫類だ。
体長は10メートル以上で、中世代の海の頂点捕食者だったと考えられている。
今回発掘されたプリオサウルスの頭蓋骨は過去に見つかったものと違い、ほぼ完全な状態だという。
発掘に携わったイギリスの古生物学者スティーブ・エッチェス氏は「これまで関わった中で、最高の化石です。完全な形をしているという点で、唯一無二です」とBBCに語っている。
見つかった頭蓋骨は2メートル近くあり、わずかな歪みはあるものの、これまでに発見されているプリオサウルスの化石とは異なり、骨がすべて残っているという。
発掘に参加していないイギリス・ポーツマス大学のデイヴィッド・マルティル古生物学名誉教授も、これほど完全なプリオサウルスの化石はこれまでにないとニューヨークタイムズに語っている。
「まず、非常に巨大です。さらに保存状態も極めて良好です」
BBCによると、このプリオサウルスの頭蓋骨は、エッチェス氏の友人で化石愛好家のフィル・ジェイコブス氏が2022年春にジュラシック・コーストを散歩中、偶然発見した。
ジュラシック・コーストは約152キロメートルに及ぶ海岸で、古代の化石や岩石、地層が多数存在しており、ユネスコの世界遺産に認定されている。
ジェイコブス氏が海岸で見つけたのは崖から落ちてきた頭蓋骨の鼻の一部で、一人で運ぶには重すぎたという。
ジェイコブス氏はエッチェス氏に連絡し、ふたりは簡易ストレッチャーを作って化石を運んだ。
さらに、エッチェス氏らは古生物学者やプロのロッククライマーからなるチームを編成し、ドローンを使って残りの化石が崖のどこにあるかを突き止めた。
頭蓋骨の発掘は崖の上からロープで降りて行ったものの、困難を極めたという。
エッチェス氏は「とても興奮しましたが、よく考えると化石を採取するにはあまり良い場所ではありませんでした。崖は垂直で、崩れやすく、侵食が早い。大きな岩が落ちたり、滑りやすい岩棚があったりと危険な場所なので、何より安全を優先しました」とガーディアンに語っている。
エッチェス氏は、プリオサウルスの残りの部分も発掘したいと考えているものの、かなりの労力と資金が必要だろうとPeopleに語っている。
「崖は毎年数フィートずつ侵食されています。私は全体を保存することは、科学的に重要だと考えています」
発掘された巨大なプリオサウルスの頭蓋骨は、現在ドーセット州キンメリッジにあるエッチズ・コレクション・ジュラ紀海洋生物博物館で保存されており、1月に展示される予定だ。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。