プラスチックが海洋を汚染している事実を聞いた事はあるだろう。
毎年480万〜1270万トンのプラスチックが海洋に流れ込んでいる。
でも、1本のストローやプラスチックボトルだけで何か変わるのだろうか?
アーティストのベン・ヴォン・ウォン氏は「変わる」と言う。
ヴォン・ウォン氏は、廃棄されたプラスチックごみで巨大なインスタレーション作品を製作し、アートを使って私たちに使い捨て用品の見直しを強いている。
1月末、彼は約3メートルの高さの2つの波がぶつかる直前の瞬間を描いた「ストローポカリプス」という作品を発表した。それは、ビーチクリーンでボランティアが収集した16万8000本の使い捨てプラスチックストローでできている。ベトナム・ホーチミン市のショッピングモールで初の展示が行われた。
よく「リサイクル」とは聞くが、実際に再利用されているのは世界のプラスチックごみのわずか9%だ。ストローは汚染の1番の要因ではない。だが、ドリンクを飲むのに実際ストローは不要だし、小さくて軽すぎてリサイクルできないため、最近批判の的となっている。
ヴォン・ウォン氏は「これらのストローは全て、誰かがたった数分で飲んだドリンクから出たゴミ。ドリンクは飲んだらすぐ無くなるけど、ストローが自然に戻るには何世紀もかかるのだ」と強調する。
「私がやりたいのは、見る人に自分の行動の影響を認識してもらうことです」とハフポストに話した。そして作品を見た人に、プラスチックの消費を減らしてほしいという。
3月には、作品「プラスティコフォビア」を発表。1万8000個のプラスチックカップでできた洞窟だ。ヴォン・ウォンは、「1番興味深いのは、通行者がこの作品とふれあう姿。彼らは作品を見ながら、手にはプラスチックバックに入ったプラスチックボトルのドリンクとストローを持っているのです」と話した。「すごい矛盾ですよね」
2016年には、「60秒ごとにトラック1台分のプラスチックが海に流されている」という統計を体現した「Truckload of Plastic(トラック1台分のプラスチック)」を発表。彼と環境保護団体Greenpeaceのボランティアが収集した1万個以上のプラスチックごみを繋げて、トラックから一気に溢れ出したように表現している。
プラスチックごみは様々なルートで海に流れだす。アメリカ周辺の海洋では、殆どがポイ捨てによるものだ。インドネシアのようにゴミ収集のインフラが整っていない国では、ごみは川に捨てられ、そのまま海に流れていく。
世界中で、プラスチックの製造はこの40年で4倍に膨らんている。また、最近発表されたNature Communication誌では、1990年代から海洋プラスチックごみが急増したという。
ヴォン・ウォン氏は、これらのアートがコカコーラやネスレ、マクドナルドなどの大企業によるプラスチック使用量の低減につながる事を願っている。
「プラスチックは企業側からアクションを取っていく必要があります。清掃やリサイクルだけで対応するだけでは限度があります」
これに専門家も同意する。
「廃棄過多な消費者が原因だというのは嘘。私たちの個人的な習慣の改善だけでは問題は解決しません」環境保護活動家であり革新的な生物学者であるマット・ウィルキンス氏はScientific Americanに述べた。
大企業は、どのようにこのプラスチック危機に対応するかを検討している最中だ。多くの企業は、再利用可能なパッケージで商品を消費者に届け、利用後はそのパッケージを回収・洗浄・そして再利用可能なサービス、Loopに登録している。
ハフポストUS版を翻訳、編集しました。