日本のCEOの7割が「自社を10年存続できない」と回答。減速する経済にどう対応していく?【調査結果】

世界全体のCEOの73%、日本のCEOの65%が2023年の世界経済の減速を予測しています。

日本のCEOの72%が「現在のビジネスのやり方は10年後には通用しない」と考えている──。

PwC Japanグループが公表した「第26回世界CEO意識調査」の日本調査で、こんな結果が明らかになった。

調査は、PwCが2022年10〜11月、世界105カ国・地域の4410人のCEOを対象に行った意識調査のうち、日本企業のCEO176人の回答に焦点を当てたもの。

「現在のビジネスのやり方を変えなかった場合、10年後に自社が経済的に存続できない」と考えているCEOの割合が、世界平均(39%)を大きく上回った。

調査から見えてきた日本企業の「現在地」、そして「これから」とは?

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減速する経済と、日本企業の「足元と先行き」

調査結果によると、世界のCEOの73%、日本のCEOの65%が「今後12カ月間において、世界の経済成長は減速する」と回答。「改善する」という予測が8割近くに達した過去2年と比較すると、悲観的な予測が激増した。

新型コロナウイルスの収束と経済回復への期待感がしぼみ、世界経済の先行きに懸念が強まっている状況だ。

PwC Japanグループ

一方、「今後12カ月間における売上成長見通し」については、日本のCEOからは「自信がある」という回答が76%を占めた。「全く自信がない」は5%にとどまり、世界全体(10%)やアメリカ(16%)よりも自社業績に対する底堅い認識が伺える。

しかし、期間を「今後3年間」に伸ばすと、その景色は変わってくる。

アメリカでは「自信がある」という回答が61%に上昇。世界全体でも53%に達したが、日本は「12カ月間」でも「3年間」でも回答の構成比率に大きな変化は見られない結果となった。

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さらに「10年後」については、72%のCEOが、現在のビジネスのやり方を変えなかった場合には自社存続が危ういという強い危機感を持っていることが明らかになった。

足元の収益に対しては堅調な見方が続く一方で、将来には自信が持てない日本のCEOの状況が浮き彫りになった。

脅威的なインフレへの懸念

悲観的な経済予測の背後にあるのは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響をはじめ、各地域における「地政学的対立(地政学的リスク)」と、それに伴う「インフレ」への懸念だ。

さらに、長期的には「労働力/スキルの不足」が今後10年間の収益性に大きな影響をもたらすと考えるCEOが77%にのぼった。

企業努力ではどうにもならない世界規模の難題が山積する中で、日本では少子高齢化が経営の懸念材料と追い討ちをかけている。「規制の変更」や「サプライチェーンの混乱」を挙げる割合も、世界全体と比較して高くなっている。

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食品や日用品をはじめ、生活レベルでも値上げをひしひしと感じる昨今。今回の調査結果でも、日本国内の「インフレ」が、今後12カ月間における経営上の脅威として顕著に現れており(49%)、資金調達や投資の環境に既に影響を及ぼしている。

また、各地域における地政学的対立への懸念は43%にまでのぼり、世界全体の25%を大きく上回った。

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多様なステークホルダーと、足並みを揃える

PwCのグローバル会長ボブ・モリッツ氏は、「組織や社会が直面しているリスクは、単独かつ孤立した状況では対応できない」と調査結果を振り返り、その鍵となるのは多様なステークホルダーとの連携だと総括する。

「自社、社会、そして地球のために、CEOはリスクを効果的に軽減し、信頼構築による長期的な価値を生み出す必要があります。そのためには、幅広く官民両セクターのステークホルダーとの連携を継続していかなければなりません」

SDGsの年限である2030年が迫り、今まで以上に積極的なアクションが求められる今、企業同士が足並みを揃えていく必要がありそうだ。

大きな社会課題と長期的に向き合うにあたり、多様な「横の繋がり」を築くことは企業理念の実現にも力添えをし、CEOや社員の働きがいやウェルビーイングにも直結してくるだろう。

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