お客様に便利でスムーズな決済をしてほしいが、事業者としても簡単に導入できて使いやすいサービスを選びたい──。
昨今、様々な決済サービスが増える中、中小企業にとって「悩みの種」となっているのが決済サービスの選定だ。
そんな中、ぺイパルは今年4月に、中小企業やフリーランスにとって利点が多い「ノーコード決済」を発表した。コーディングの知識なしで支払いと受け取りが簡単にできる利便性の高い決済サービスだ。
ノーコード決済とはどのようなもので、事業者にとってどのような利点があるのか。日本の担当者に話を聞いた。
中小企業は「経済の成長と力強さに欠かせない存在」ペイパルが中小企業を支援する理由
中小企業はOECD加盟国で全企業の約99%、また雇用の60%を占めている(*1) 。日本でも、企業数の約99%を占めており、もはや、中小企業は世界経済を下支えしているといっても過言ではない(*2)。
ペイパルでは、中小企業のデジタル金融サービスへのアクセスを改善することは、中小企業のビジネスの成長を促進し、様々な国の経済活性化にも繋がるという考えのもと、決済サービスを通して、中小企業をサポートしている。
ペイパルは2023年度版グローバル・インパクト・レポートの中で、「中小企業は、家族、地域社会、そして世界経済全体の成功と力強さに欠かせない存在」とし、同社の技術を通して中小企業をこれまで以上にサポートしていくという強い意思を示し、こう綴っている。
「私たちは、家族経営から大企業まで、あらゆる規模のビジネスや企業が地域社会に貢献し、活気ある地域経済、ひいては世界経済の創造に貢献できるよう支援します」
決済サービスは「初期費用の安さ」「使いやすさ」を重視
今年4月、ペイパルは日本の中小企業へのサポートをさらに加速させるため、現状を把握する目的で「中小企業によるEコマース活用実態調査2024」を実施した。
調査は、従業員4〜299人以下の、Eコマース(EC)ビジネスを行っている日本企業の意思決定者310人を対象に行われた。
中小企業が抱える課題やECをめぐる現状などを聞き、調査結果からは、中小企業は、自分たちにとって使いやすく初期費用が安い決済サービスを必要としていることがわかった。
中小企業は、円安や物価高騰の影響による物流・資材コストの増加に加え、IT人材不足、資金調達など様々な課題を抱えている。そんな中で、コロナ禍もきっかけとなり、国内ECはもとより、海外の顧客に販売する越境ECビジネスに挑戦する企業も増えた。
ECビジネスへの意欲は高まっているものの、一方で課題もある。例えば、従業員4〜9人以下の小規模事業者では、ECを行う上での課題は、資金面よりも「専門的な知識不足による不安」が最も多く、自分たちのECに自信を持てていない現状も垣間見られた。
また、ECサイトの決済サービスでも、選定基準については、「初期費用の安さ」「決済時の手数料」が当然高くなるのだろうと思いきや、それらを上回って「使いやすさ」を重視するという意見が多かったのも小規模事業者である。
注目すべき点として、多様な販売ルートで成長活路を見出したいと考えているのは小規模事業者が最も多かった。彼らは従来型のECモールの利用に加えて、独自の自社ECサイトやECアプリ、またSNS上での販売に乗り出したいという意向を示している。そのためにも、コーディングの知識や多額な初期費用がかからない、手軽でセキュリティが高く、安心な決済方法が以前にも増して必要とされていた。
3種類の「ノーコード決済」、それぞれの利点は?
ペイパルが今年リリースしたノーコード決済は、誰もが簡単に導入することができる決済方法だ。
ノーコード決済は、「ボタンコード決済」、「支払いリンク決済」、「QRコード決済」という3つの決済方法をわずか数秒で一度に作成することができるため、ウェブサイトの有無や対面・オンライン販売など、それぞれの販売者のスタイルによって最適な決済方法を利用できる。もちろんこのサービスを利用するためのコストは無料だ。(*3)
ノーコード決済の導入を日本で担当したペイパル東京支店の木村謙介(きむら けんすけ)さんは、この決済サービスの強みを「コーディングの知識や経験がなくてもPCやスマホの簡単な操作ですぐ始められ、誰でも『売り手』になれる点」だと語る。
「ウェブサイトを持っていなくても、ソーシャルメディアで支払いを受けることができます。この点が一番魅力的だと思います。また、買い手側がペイパルのアカウントを持っていなくても、クレジットカードやデビットカードで支払いができるため、決済のハードルを感じさせることはありません」
「ボタンコード決済」では、自社サイトで紹介している商品ページのコーディングページに、ノーコード決済のホストページで自動生成されるボタンコードを貼り付けるだけで、支払いを受け取ることができるEC機能が瞬時に加えられる。商品を紹介するウェブサイトはあるがECサイトを作る予定はない場合などに便利な決済方法だ。
「支払いリンク決済」も同様に、ノーコード決済のホストページで生成される支払いリンクを直接メールで顧客に送ったり、SNSやウェブサイトなどにハイパーリンクとして追加したりすることで、支払いの受け取りが可能だ。
「QRコード決済」は、ポップアップやフリーマーケット、マルシェ、フードトラックなどでも活躍する。ポップやカードに、ホストページで生成されたQRコードをダウンロードして貼れば、買い手はスマートフォンでQRコードを読み取って、支払うことができる。
特に「QRコード決済」は、ペイパルのブランド認知が高い訪日外国人旅行者向けへのサービスにおすすめだと木村さんは話す。
「レジに『We Accept PayPal』などと書いたポップを置き、そのポップにQRコードを貼っておけば、外国人旅行客は自国で慣れ親しんだペイパルで支払いが可能ということで、安心感を持って気軽にお買い物ができます。インバウンドにおいて、ペイパルという高いブランド力は事業者の皆様の強みになると思います」
土産店にSNS、様々な場で活躍。世界をターゲットに越境ECも
ペイパルという「ブランドを活かす」という観点では、国境を越えた販売でも、有効活用することができる。
「ペイパルには世界で約4億以上のユーザーがいます。海外のペイパルユーザーに対して、ウェブサイトやSNSなどで自社の商品をアピールしながら、スピーディーかつ簡単に、決済機能付きの商品紹介ができます。日本の中小企業の皆様の国境を越えたビジネスにお役立ていただきたいと思っています」
さらに木村さんは、ノーコード決済の活用の場として、土産店などの店舗やフリーマーケットのほか、オフラインでは展示会やフェア、料理教室など自宅でのスクールビジネス、オンラインでは、添削や翻訳などのリモートサービス、クリエイターのSNSやサイトでの作品販売などを挙げている。
「ノーコード決済には支払い金額を買い手が設定できる機能もあり、柔軟性の高い決済をご利用いただけます」
より良い決済サービスを探している事業者に向けて、木村さんはこう呼びかける。
「中小企業の皆様や個人事業主、フリーランスの方にはぜひ、このノーコード決済を一度お試しいただきたいと思います。『あ、ここで決済がほしいな』と思った時にすぐに始められるノーコード決済は、ノーコスト(*3)で、スピーディーかつセキュリティも高く、煩雑さを軽減しています。EC決済の概念を変えていく、売り手にも買い手にも、とてもユーザーフレンドリーなペイパルの新しいサービスです」
ノーコード決済を味方につけて、どのような新しいビジネスが発想されていくのか──。今後の動向に期待が高まる。
(動画:支払いと受け取りを簡単に行うための「ノーコード決済」)
注釈)
*1 OECD「持続可能な中小企業」2023年2月
*2 中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果」
*3 支払いの受け取りには手数料がかかります