凍てつく夜に、寒々しい現実だ。
2月15日から16日の夜にかけて、フランス・パリで、およそ2000人の職員とボランティアの団体が、「連帯の夜」という夜回り運動を行った。その結果、パリの路上生活者数が約3000人(正確には2952人)であることがわかった。21日にパリ市役所が発表した。
ホームレスは、フランスでは大きな社会問題となっている。
1月下旬から2月初旬にかけては、何人かの政治家の発言が波紋を呼んでいた。
1月31日、国土省のジュリアン・ドノルマンディー副大臣が、「首都圏の路上生活者は50人にも満たない」と発言し、また2月5日、エマニュエル・マクロン大統領の「共和国前進」所属議員が、「彼らの大半は自らの選択で路上にとどまっている」などとコメントしたのだ。
そうした背景で行われた「連帯の夜」の狙いは、「ありのままに写し取った現実」を得ることだった。
夜回り運動は今後、毎年の実施を予定しているという。
パリ市は「この数字は最低限であり、現実はもっと多い」と指摘する。
「できる限り厳密な手法のもと調査を行うべく、私たちは、実際に姿を確認した人たちしかカウントしませんでした。それ故、茂みの中や、公園、庭園にいたかもしれないホームレスの人々のことは、除外されているのです。
あるいは、閉ざされたテント、建物のエントランス、ペリフェリック(パリを取り巻く環状道路)といった除外エリア、あまりにも危険な工事現場などにいる人々のことも、含まれていません」
また、 2952という数字には、緊急収容施設に入っている672人も合わせる必要がある。合計すると3624人となる。
パリのドミニク・ヴェルシニ副市長は述べる。「すべての人を受け入れるためには、3000の住む場所が不足しています。国と市が一体となって努力することが不可欠です」
以下が、詳しい調査結果だ。パリの10区で、もっとホームレスの数が多かったことが分かる(266人)。逆にもっとも少なかったのは3区だった(24人)。
パリの路上生活者の実態把握を試みた「連帯の夜」の調査結果。鉄道会社などとも協力して行われた(アンヌ・イダルゴ市長のTwitterより)
ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。