アメリカのパンデミック最前線で働き続けてきたふたりにとって、ワクチン接種の日は最も幸せな1日になったかもしれない。
サウスダコタ州カントンで救急隊のスーパーバイザーとして働くロビー・ヴァーガス=コルテスさんは、12月23日に地元の医療機関スタンフォード・カントン=インウッド・メディカルセンターでワクチンの接種を受けた。
そしてその日、ヴァーガス=コルテスさんは大切なサプライズも用意していた
それは自分にワクチンを打つ看護師で、ボーイフレンドのエリック・ヴァンダリーさんへのプロポーズ。
何も知らないヴァンダリーさんが、左腕のTシャツをまくり上げると、ヴァーガス=コルテスさんの腕には婚約指輪がテープでとめられていた。
指輪を見て驚くヴァンダリーさんに、「本当に大変な1年だったけれど、君と一緒に生きる人生はとても楽しい」と伝え、指輪を渡すヴァーガス=コルテスさん。あっけに取られたヴァンダリーさんだったが、うなずいて左手の薬指で指輪を受け取った。
ヴァンダリーさんは後にCNNに「何が起きているかわかった後は、とても幸せな気持ちになった」と語っている。
プロポーズは周りの同僚たちから歓声と拍手で祝福された。
ニューヨークタイムズによると、ヴァンダリーさんの86歳の祖父ノーマンさんは、11月に新型コロナウイルスの合併症で他界した。
家族を失う悲しみを知るヴァンダリーさんにとって、ワクチンはとても大きな意味を持つ。12月にワクチン接種が始まった時には、「パンデミックを終わらせる助けになりたい」と、ワクチン供給のボランティアを始めた。
CNNによると、ヴァーガス=コルテスさんは約3年前から指輪を準備していた。
最高のタイミングでのプロポーズを待ち続けていた時に、使命感を感じて働き続けるヴァンダリーさんを見て、ワクチン接種時のプロポーズを思いついたという。
スタンフォード・メディカルセンターが投稿したプロポーズの動画には、たくさんの祝福のメッセージが寄せられていて、ふたりを勇気付けている。
「サウスダコタ州はとても保守的な州です。2015年の最高裁の判決がなければ、私たちは結婚できませんでした。こんなにたくさんの祝福やサポートを、特に同じサウスダコタ州の人が寄せてくれたことにとても励まされています」とヴァーガス=コルテスさんはCNNに話す。
ふたりはまた、明るい未来は来るということを自分たちと同じような不安を持つLGBTQ当事者の人たちにも知ってほしいと願っている。ヴァーガス=コルテスさんはInstagramにこう綴る。
「たった一人でもいいから『自分には幸せは訪れないだろう』と感じているLGBTQの当事者に私たちはここにいると伝えたい、というのが私の願いです。あなたが今いる場所からは不可能に見えるかもしれない。だけどどうか頭を上げて、強い気持ちを持ってください!私たちはサウスダコタ州でこの幸せを手に入れたのです!あなたがどんな人であっても、あなたは強い。そしてきっとうまくいく日が必ず来ます」