パキスタン北西部のワジリスタンで、男性と一緒に動画にうつっていた10代の少女2人が、家族に殺害された。
パキスタンの警察は、殺人と証拠を隠した容疑で少女の父と親戚を逮捕したと発表。
家族や親戚による「名誉殺人」として捜査を進めている。
■動画がきっかけで殺された
事件は5月14日に、北ワジリスタンと南ワジリスタンの境にある村で起きた、とパキスタントゥデイは伝える。
警察の報告書によると、殺されたのは16歳と18歳の少女で、家族の名誉のためという理由で親戚に射殺され、その後に埋められたという。
2人がうつっていた動画は、1年前に携帯電話で撮影されたものと考えられているが、最近になってソーシャルメディアに投稿されたという。
動画には男が3人の少女と一緒にいる様子がうつっており、そのうちの2人に男がキスした、とBBCは伝える。
3人目の少女は身を隠していると考えられおり、警察は彼女を守るために居場所を探している。
少女にキスした男と動画をアップロードした男の友人も逮捕したと警察は発表したが、殺人を実行した犯人はまだ捕まっていない。
■法律ができた後も続く、名誉殺人
名誉殺人は、家族に“不名誉”がもたらされたと主張する家族や親戚による殺人で、ほとんどの場合、被害者は女性だ。
パキスタンでは、2013年にダンスを踊っている動画見た親戚によって、15歳と16歳の少女が殺された。
2016年には、SNSに自撮り写真を投稿したモデルの女性が、兄によって殺害された。
この事件の後、名誉殺人を厳罰化する法案が採決された。しかしその後も名誉殺人は減っていない、とパキスタン人権委員会(HRCP)は訴える。
今回の事件の後、名誉殺人に厳しく対処するよう求める声明をHRCPは発表した。
「2016年に法律が採択されて以降、名誉殺人の件数と、それを社会が許容するケースが減ったという証拠は、ほとんどありません」
「女性の体と行動には名誉が伴う、という古くて死を招く考え方は、今でもパキスタン全体に広がっています」
「性差別を簡単に許容する家父長制、そして“名誉”殺人を正当化し、承認し、実行する家父長制を、どちらも決して許容するべきではありません」
HRCPはまた、今回の殺人事件をソーシャルメディアで批判している人たちに対して脅迫や揶揄が起きていることにも懸念を示しており、名誉殺人の支持者を容認しないよう国に強く求めている。