もう恋はしなくていいかなって、割と本気で思っていた。大好きな人と別れてから。
みんな、どうやって人を好きになるの?
どんなふうに「恋」をすればいいの?
私にも教えてほしい!
恋愛のことは、プロに聞け。
荒れた心に恋のインフレを再び湧き起こそうと、恋愛・婚活マッチングアプリ『Pairs』を運営する株式会社エウレカの門を叩いた。
平均年齢28歳の男女が働くオフィスには、あちこちにカップルの写真が飾られ、明らかにハッピーな空気が漂っていた。
恋ばなれしている人間には、居心地の悪さマックス。はるか遠い国に来てしまった気分だった。
それでも勇気を出して、聞いてみた。
「恋って、どういうものですか?」
株式会社エウレカ取締役CPO&CMO中村裕一さんの答えは、シンプルだった。
「恋は、楽しいものですよ」
まるで息をするように当たり前に言うものだから、驚いた。恋愛は辛くて苦しくて、だから面倒でやっかいなもの。そんな時間もないし忙しいし......って、自然とマイナスのことばっかり考えていたから。
でも本来「人を好きになる」って、とても嬉しくて、気分が高揚して、心が温かくなるもの。
次に会ったら何を話そうかな、どんな服を着ようかなっていう悩みも、それを友達に相談する時間も、すべて"恋"として味わって、わくわくして、一喜一憂する。
「そうして過ごしていると、気持ちがとても豊かになると思うんです。仕事が忙しいときでも、頑張れますよね」
そう語る中村さんは、日本の恋愛文化を革新させようとしていた。
恋愛離れが進む日本
若者の恋愛離れが問題視されている。「恋人が欲しいですか」という質問に、20代にいたっては約40%が「NO」と答えている。
中村さんは言う。
「"ちょっと面倒くさい"とか"今は忙しくて時間がない"という理由で、恋をする機会を逸しているのは、もったいないと思うんです。
だって"恋"って、単純に楽しいし、幸せな気分になれるじゃないですか。
だから、時間がない人や、ちょっとした面倒臭さを感じる人たちにこそ、手軽なマッチングアプリを入口にしてもらえればと思うんですよね」
「ちょっと先の未来を想像できる恋」が、いい
しかしマッチングアプリというと、結婚したい人が婚活のために使っているイメージがある。
「もちろん結婚や、それに近しい関係が成立するのは素晴らしいことですが、それだけではないんです。
人生が楽しくなる"エッセンス"としての恋を、より多くの選択肢から選びとる。実生活では出会えなそうな人と知り合う。そういった"新たな出会いの文化"を提供するためのものでもあるんです」
恋愛の先に結婚というゴールがあると身構え、億劫になっている人も多いのではないだろうか。結婚を意識するあまり恋を楽しめていない人も、いるかもしれない。でもそれでは本末転倒だ。結婚だけがゴールじゃないし、「恋は特別であらねば」と思い込む必要はない。
春にはお花見をして、夏には花火大会に行って。次の誕生日を一緒に過ごせたら......そんな、"ちょっと先の未来を想像できる恋"。悪くないのかも。
でも、"出会う"って大変
とはいえ、出会いのハードルが高いことは確かだ。相手のことをよく知らないのはリスクが大きいし、恋は"運命"だとか"落ちるもの"だとか、よくある歌詞のフレーズみたいに言うのは信じられない。懐疑心まみれの私に、中村さんは言った。
「マッチングまでの過程で、アルゴリズム、いわゆる機械学習を利用しているので、自分の趣味や好きなものに準じて、相性の良さそうな人が見つかります。見た目やスペックじゃない部分での興味も、見出せますよ」
でも、気持ちや感情で動かされるべき"恋愛"なのに、データに頼るの? それはそれで、ちょっと寂しくない!? なんやかんやとしつこく問う私に中村さんは、ネットだからこそできる、人間くさい仕組みを教えてくれた。
「Pairsには、"コミュニティ"という、趣味や価値観、ライフスタイルを表明する"タグ"のような役割を果たす機能があります。どんな食べ物が好きで、どんな生活をしているか、登録しているコミュニティ情報で見た目やプロフィールだけではわからない内面の細かい部分もわかるんです。
コミュニティは会員が思い思い自由に作っていくので、現在は全部で10万件以上あります。なかには『歳をとっても手をつなぎたい』というものも」
なるほど。コミュニティを通してお互いの価値観を理解したり、趣味や嗜好を共有したりすれば、一気に距離が縮まるのは確かだ。
しかも会員が自発的に作るので、「お花見に行きたい」や「今期おもしろいドラマ」など、運営側が主導していたら見落としがちな季節性のものやニッチなものも、どんどん更新されていく。人間同士の関わり合いだからこそ、自由度は高くていい。
見た目とか年収とか、いわゆる"スペック"ってやつを重視する時代は終わったんだ。そう思ったら、ホッと肩の力が抜ける自分がいた。
マッチング・アルゴリズムは、"合コン"より快適
コミュニティを基に膨大なデータを分析すると、自然と意外な相関性が浮かび上がってくる。
「コーヒーの香りが好きな人は、観葉植物が好き」
「生ガキが好きな人は、ユッケが好き」
「カメラが趣味の人は、散歩好き」
など、コミュニティに類似が見られるのだ。
手法はシステマチックだけど、元となる発想の部分は非常に人間味がある、"コミュニティ"。よくよく考えると、ひと昔前のお見合いのシステムや、合コンのセッティングに似ているのかもしれない。
おせっかいな友達が「あなたたち絶対相性いいから、会ってみなよ!」と根回ししていた役割を、今は、AI(アルゴリズム)が担っている。
オンラインの出会い=当たり前
先日、マッチングアプリで知り合った友人カップルの結婚式に行った。披露宴での新郎新婦の紹介動画では「アプリで出会いました」と流れ、会場内の興味をさらっていた。
驚いたのは、参列していた友人9人中5人までもが、マッチングアプリで結婚していたことだった。
実際にここ数年で、マッチングアプリによるカップル成立数は右肩上がりだという。
今回『Pairs 』が作ったイメージ動画には、Pairsでマッチングし交際したカップルや入籍をした夫婦と、その子どもたち、総勢186人が登場している。
「Pairsで交際・入籍したカップルに、初めて広告に登場してもらったのは2017年8月です。そのときはたった3組に出演いただくのがやっとでしたが、一般の人が『マッチングアプリで出会いました』と顔を出して自分の言葉で幸せを表現することでハードルが格段に下がり、『自分も使ってみよう』という人が増えました」
自分と同じ"フツーの人"が使っている。恥ずかしいことじゃない。オンラインも出会いの一つのカタチだって、堂々と言ってもいいんだ。
それがブレイクスルーとなった。
今年の2月に行った広告キャンペーンの際には、176組ものカップルから出演の応募があり、その中から14組が出演した。このたった半年だけでも、世の中が変化してきている。
今後は「日本とアジアにオンラインデーティングの文化を根付かせることが目標」だという。恋をして幸せを感じる人が増えれば、世の中はきっともっと良くなるはずだから、と。
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取材を終えて外に出ると、夕暮れの空にうっすらと月が浮かんでいた。
再びの恋へ、予行練習を始めようか。夏はもうすぐ、そこまできている。
※バナーの表記における利用率については『恋活・婚活マッチングアプリの利⽤状況調査結果より「ファストアスク」にて⾃社調べ2017/11/6〜11/11(対象:20歳〜49歳の男⼥2201⼈)』※バナーの表記における利用率については『恋活・婚活マッチングアプリの利⽤状況調査結果より「ファストアスク」にて⾃社調べ2017/11/6〜11/11(対象:20歳〜49歳の男⼥2201⼈)』