「水中の虎」「河川のジャイアントパンダ」「淡水魚の王」「象魚」...数々の異名を誇る魚が地球から姿を消した。
学術誌「サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント」にこのほど、中国・長江の固有種「ハシナガチョウザメ」が絶滅したと結論づける論文が掲載された。
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ハシナガチョウザメ(Psephurus gladius)は別名シナヘラチョウザメとも呼ばれる長江の固有種。ナショナル・ジオグラフィック日本版によると、淡水魚では世界最大の一種とされ、大きなもので体長7メートル、体重450キロに達したという。その巨躯から中国では「淡水魚の王」「水中の虎」などの異名を取っていた。
中国メディアがTwitterにハシナガチョウザメの描かれた切手を掲載している。鋭く伸びた鼻が特徴で、「象魚」という二つ名はここからつけられた。
絶滅のきっかけの1つとみられているのが、長江で進むダムの建設だ。中国メディア「財新」によると、ハシナガチョウザメは長江上流で産卵し、下流でエサを捕食する。この回遊の流れをダムが寸断したという。
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ハシナガチョウザメの捕獲が最後に正式に確認されたのは2003年。論文は2005年から2010年の間には絶滅したと推定している。その希少さゆえに「河川のジャイアントパンダ」などとも呼ばれ、数々のあだ名で親しまれていた。
ハシナガチョウザメは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは現在絶滅の一歩手前とされる「絶滅危惧IA類」に分類されている。