「なんだこの判決」大阪市の吉村市長 ひげで人事評価マイナスの訴訟で控訴へ

厳格な「身だしなみ基準」が事の発端に
大阪市の吉村洋文市長
大阪市の吉村洋文市長
時事通信社

大阪市の吉村洋文市長は1月17日、大阪地裁が大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の運転士2人がひげを理由に人事評価を下げられたのは「違法」と認定したことに対して、twitter上で「なんだこの判決」などと苦言を呈した上で控訴する意向を示した。

■吉村市長のツイート

 吉村市長は17日、自身のtwitterに大阪地裁の判決について「なんだこの判決。控訴する」などと投稿した。地下鉄が市営だった当時、職員にひげを剃ることなどを求めた「身だしなみ基準」に関しても「ルール自体が合法なのに(判決)、守らなくていいなんて理屈通らない」とし、判決に苦言を呈している。

 大阪市都市交通局は18日、ハフポスト日本版の取材に対し「事務的な手続きはこれからだが、控訴するように市長から指示されている」と回答した。

■「身だしなみ基準」とは?

 大阪市によると、「身だしなみ基準」は橋下徹前市長時代の2012年9月に、服装などの面で乗客に好感を持ってもらうなどの目的で制定された。市営の地下鉄やバスの職員が対象で、ひげに関しては「伸ばさず綺麗に剃ること」としていて、さらに「整えられたひげも不可」と付記されている。そのほかにも「職場の雰囲気に合わせたナチュラルな化粧をする(ノーメイクは原則不可)」「鼻毛が見えないよう処理する」などと細かく基準が定められている。

この基準は、2018年に地下鉄やバスが民営化されたことがきっかけで事実上廃止されている。

基準を制定した当時、市長だった橋下徹氏もtwitterで「当時は厳格に服務規律を守らせることが第一だった」などと制定時の背景を説明した。

■大阪地裁の判決

朝日新聞NHKによると、当時の大阪市営地下鉄の50代の運転士ら2人は、ひげを剃らなかったことが原因で人事評価を下げられたのは、不当な人事考課にあたるなどとして大阪市を相手に損害賠償を求めていた。

大阪地裁は1月16日、ひげを生やす権利について「個人的自由に属する」と認定。ひげを主要な原因に人事評価を減点したのは違法だとして、市に慰謝料など計44万円の支払いを命じた。

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