野球のイチロー、サッカーのカズ、スキージャンプの葛西紀明。さまざま競技にレジェンドと呼ばれる選手がいる。バスケ界で言えば、レバンガ北海道の折茂武彦選手だ。
5月15日、プロバスケBリーグが今シーズンに活躍した選手らを表彰する式で、特別賞に輝いた。
リーグ最年長選手は、前日に誕生日を迎えて49歳になったばかり。
1993年のデビュー以来、26シーズンにわたり、国内トップリーグの第一線で活躍を続け、今シーズン通算1万得点の大記録を打ち立てた。
史上3人目、日本出身選手として初めての快挙に、特別賞が贈られた。
受賞トロフィーは、北海道出身のスキージャンプの高梨沙羅選手から手渡された。
「お誕生日おめでとうございます」
高梨選手は、受賞よりもまず誕生日を祝福した後で、「折茂さんの活躍を見て刺激を受けています。私もたくさんの人から愛される選手になるために頑張っていきたい」とねぎらった。
ライバルやチームメイトからのねぎらい
Bリーグ1部の平均年齢は、初年度(2016-17)で28.3歳。
折茂選手はそれを20歳も上回っているが、今シーズンに欠場したのは、全64試合中わずか1試合で、出場時間は4割に当たる平均約16分。類稀なシュート力はいまだ健在だ。
授賞式では続いて、スクリーンにVTRコメントが流れ、かつてのライバルやチームメイトから、折茂選手への祝福の声が寄せられた。
全盛期にライバルとしてしのぎを削り、今シーズンまで川崎ブレイブサンダースのヘッドコーチを務めた北卓也氏は、「情熱があればどれだけでもプレーできるというのを見せてほしい。できるだけ長く現役を続けて、色々な人に勇気、感動を与えていただければと思います。同年代としても応援しています」とねぎらった。
かつて、日本代表で共にプレーした栃木ブレックスの竹内公輔選手は「まずは1万得点で満足せずに、50歳までプレーしてもらうのと、これからも得点を重ね続けて、僕の尊敬する折茂さんでいてください」とエールを送った。
選手兼クラブオーナー
折茂選手は選手でありながら、所属するレバンガの運営会社のオーナーという顔も持つ。
前身クラブが経営難に直面し、クラブ存続のため、2011年に自ら新たな運営会社を立ち上げた。選手を続けながら、経営責任のある立場となり、資金繰りやスポンサー集めなどにも奔走してきた。
そんな折茂選手の姿を、チームメイトとして10年以上見続けてきた桜井良太選手は、VTRの中でこう振り返った。
「レバンガ北海道を立ち上げ社長になりましたが、もちろん経営もしたこともない。できないながらも、チームや他の選手のために色々なところを走り回って、頭を下げてくれているのを見て、本当にすごいなと思いました」
続けて「49歳でBリーグアワードを受賞できる人はこの先いないのではないか。1万得点とアワード受賞、本当におめでとうございます」と祝福した。
VTR後、受賞の感想を問われた折茂選手は、「この年齢になって若い選手と一緒にコートに立てるのはとても幸せなことだと思います。どれだけ時間が残っているのか分からないが、しっかりその時間を大切にして、Bリーグや日本バスケット界のためにも精一杯努力していきたいです」と、現役を続ける決意を新たにした。
表彰式では他に、年間チャンピオンやMVP、SNSメディア最優秀クラブまで22部門が発表された。表彰式の様子を写真で紹介する。