新海誠監督の新作アニメーション映画『天気の子』(7月19日公開)の製作報告会見が2日、都内で開催された。「完成披露試写会でもなく、やや中途半端な報告会」と笑ってみせた新海監督。実はまだ作品は完成しておらず、「いまもスタジオでスタッフが全力で作業中で、僕はその何百人かを代表して少しの時間ここにいるんです」と状況を説明。切迫したものはまったく感じられず、むしろ「とてもいい状態になっていると思います」と自信たっぷりだった。
音楽(主題歌・劇伴)を手がけるRADWIMPSの野田洋次郎も「音楽も、もうちょっと作業が残っていまして…」とニヤリ。公開前に試写会などを一切実施しせず、新海監督は「こんな風にギリギリまで制作を許されることはない。それができるのは(前作)『君の名は。』をたくさんの方に観ていただけたからこそ。前作に助けていただいているな、という気はすごくします」と話した。
2016年8月公開の『君の名は。』は、国内興行収入250億円を突破。同年の興行収入1位、日本映画史上歴代2位という大記録を打ち立て、音楽を担当したRADWIMPSの楽曲「前前前世」も大ヒット。世界135の国と地域で配給され、海外興行収入は合計150億円に達し、世界中で社会現象を巻き起こした。ハリウッドでの実写映画化も決定している。
異例なのは、制作スケジュールだけではない。『君の名は。』以来の新海監督の新作ということで、『天気の子』は2日時点で『君の名は。』を上回る140の国と地域に向けた配給が決定。東宝配給作品としては、公開前での規模として過去最大の数となる。
川村元気プロデューサーは、「先日、ニュースにもなりましたが、映画大国インドで5万人の署名が集まったということで、いま調整に入っているところ。世界中が待ちわびている」と大きな期待をかけていた。
『天気の子』は、公開初日7月19日午前0時に上映を開始する「世界最速上映」を「TOHOシネマズ 新宿」「TOHOシネマズ 梅田」の2ヶ所で実施(合計2000人)。さらに、東宝史上初の試みとして、19日午前9時に上映全劇場359館で初回一斉上映を行う。初回一斉上映のチケットは、6日より各劇場にて販売開始(一部劇場を除く)。IMAXでの上映も初日から全国33スクリーンで開始される。
そんな異例づくしの『天気の子』は、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻ろうされる少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。雨が降り続いたり、雨が上がって雲の切れ間から太陽の光が差し込んだり、新海監督の真骨頂ともいえる緻密で美しい空・雲・光の描写にも注目が集まっている。
【関連リンク】