イギリス王室は9月8日、エリザベス女王がスコットランド・バルモラル城で亡くなったことを発表した。96歳だった。
女王の死は一つの時代の終わりを意味し、国民に衝撃を与えている。
女王が亡くなった後、何が起こるのだろうか?
エリザベス女王の死後約24時間後に、チャールズ皇太子が新国王として即位評議会から正式に発表される。これにより「チャールズ3世」となるが、女王の死の瞬間から、自動的にすでに国王となっている。
そのほかに何が起きるのか、少し説明しよう。
「ロンドン橋作戦」とは?
英ガーディアン紙によると、エリザベス女王死後の一連の計画はコードネーム「ロンドン橋作戦(オペレーション・ロンドン・ブリッジ)」と呼ばれ、1960年代から計画され、洗練されてきたという。
その計画によると、女王が亡くなった際、まず私設秘書が首相に連絡を取る。「ロンドン橋が落ちた」ーー。女王の死はそのように伝えられるという。その後、女王が元首を務める国外の14の国の政府、そして他の36のイギリス連邦の国々にそのニュースが伝えられる。
女王の遺体は、まず女王が亡くなったバルモラルに安置され、その後セント・ジャイルズ大聖堂に運ばれる予定だという。
その後、女王はウェイバリー駅でロイヤルトレインに乗って東海岸を南下し、一般市民は女王の死を悼んで花を捧げることができる。
ロンドンに到着すると、女王の遺体はバッキンガム宮殿の王座の間に安置され、4人の近衛歩兵が見守ることになる。
葬儀の前には何があるのか?
亡くなった翌日にはセント・ポール大聖堂でセレモニーが行われる見込みで、バルモラルにいる家族も教会に行く可能性がある。
棺は死後4日目にバッキンガム宮殿からウェストミンスター・ホールに移される。宮殿からは大きな軍事パレードが行われ、それには約100万人が参加する予定だという。
このパレードには、女王が在位中ずっと世話をしていたコーギー犬も参加するのでは、と憶測が流れている。
パレードは1時間後にウェストミンスター・ホールに到着し、そこで数日間、一般市民が別れを告げられるよう扉が開放され、警備員が待機し、棺の上には王冠が置かれる。
女王の死から葬儀までの間は、国民が喪に服す期間とされるようだ。また、ヨーロッパの王室もイギリスにやってきて、バッキンガム宮殿に滞在することになる。
葬儀はどうなるのか?
この日は国民の休日になる可能性が高く、お店も祝日と同様の営業時間となり、株式市場も閉鎖されるだろう。
イギリスの君主として初めてウェストミンスター寺院で葬儀が行われるのは、1760年以来。2000人のゲストが参列する予定のようだ。
葬儀の日の夜明け前に、王冠、笏、オーブは取り外され、磨かれる。
午前9時にビッグベンが鳴り、11時に棺が大修道院前に到達すると、国民の黙祷が行われる。
そして霊柩車はイギリスの歴代君主が眠るウィンザー城に移動する。
棺はジョージ6世の記念礼拝堂に埋葬される。2021年4月に亡くなった夫のフィリップ王子も現在の王室保管所から移され、女王と合流する予定だ。
葬儀全体は、第18代ノーフォーク公爵が監督する。
エリザベス女王の死は、この君主国に何を意味するのか?
王室の歴史という点では、国民の大多数はエリザベス女王が王座に座っている時期しか知らないため、彼女の死は重大なことだ。
女王は70年以上というイギリス史上最も長い間、王座に君臨した。6月には70年を祝うプラチナジュビリーを記念し、国中が祝日を楽しんだばかり。これは、72年以上君主を務めたフランス国王ルイ14世に次ぐ、世界で2番目に長い在位期間であった。
喪に服した後、女王の継承権第一位であるチャールズ皇太子が君主として君臨する。
通常、故人の後継者が豪華な戴冠式で正式に戴冠するにはかなりの時間がかかる。エリザベス女王は1952年2月6日に父ジョージ6世が亡くなり即位したが、戴冠式が行われたのは翌年の6月2日であった。
チャールズ皇太子が国王となったことで、王室の継承順位が一つ上がる。そのため、ウィリアム王子は継承権第一位となり、その次が9歳のジョージ王子となる。
政府への影響は?
長期的に見ると、特にない。女王はすでに内閣を任命しており、政府が存在しないというような問題はない。ただ、議員たちは新しい君主に忠誠宣誓をすることになるかもしれない。
君主としての最後の日々で、女王はボリス・ジョンソン前首相の辞任を公式に受け入れ、後任のリズ・トラス氏をバルモラルに迎えた。在位中に彼女が迎えた首相は、なんと15人にものぼる。
ちなみに、女王がスコットランドで亡くなった際の計画名は「ユニコーン作戦」だったと伝えられている。
【訂正】2022/9/21 10:00
葬儀を監督するのは「第18代ノーフォーク侯爵であるアール・マーシャル氏」としていましたが、正しくは「第18代ノーフォーク公爵」でした。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。
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