SNSに写真1枚を投稿するだけで、5食分の給食を届けられる
先週、10月11日にスタートしてから3日間で、1万枚以上の投稿...と、SNSで大きく拡散された『おにぎりアクション2016』。#OnigiriActionというハッシュタグを付けてSNSで投稿するだけという手軽さも手伝って、InstagramやTwitterを中心に大きな話題を呼んでいる。
写真1枚につき、貧しい子どもたちに給食5食分(協賛企業の伊藤園"お〜いお茶"と一緒に撮影すると10食分)が寄付されるというこの企画。発案したのは、日本のNPO団体 TABLE FOR TWO のマーケティング担当、大宮千絵さんだ。
「日本の代表的な食である"おにぎり"にまつわる写真をネット上で投稿すると、写真1枚につき開発途上国の子どもたちに給食5食分(約100円)の寄付が協賛企業から代わりに寄付されるという取り組みになっています。 "おにぎり"をシンボルに世界を変えようというムーブメントが、SNSを中心に広がり始めていて嬉しく思います。」
実は、このおにぎりアクションは今年が2回目。
昨年は、1ヶ月半で約5500枚の写真が世界20ヶ国以上から投稿され、合計で2万5000食の給食がルワンダの小学校や幼稚園に届けられた。今年も、日本企業からの寄付はアフリカ5カ国(ルワンダ、ウガンダ、タンザニア、ケニア、エチオピア)とフィリピンに、アメリカ企業11社からの寄付はアフリカとアメリカ国内の貧困支援にあてられる予定だという。
"おにぎり"に込められた、シンプルなメッセージ
そもそも、TABLE FOR TWOは、開発途上国の飢餓と先進国の肥満や生活習慣病の解消に同時に取り組む、日本発のNPO団体。先進国の私達と開発途上国の子どもたちが食事を分かち合うというコンセプトの下、社員食堂や店舗でヘルシーメニューを購入すると、代金の一部が寄付となり、飢えに苦しむ世界の子どもに給食をプレゼントできるという取り組みを行っている。
今回の『おにぎりアクション』は、10月16日の世界食料デーの関連企画としてスタートものだった。
「たくさんの方々に、気軽に楽しんで参加してもらえるアクションにするにはどうしたら良いかを考え、人々の生活に身近な食べものである"おにぎり"をシンボルに、インターネットで気軽に参加できる取り組みを形にしました。"おにぎり"は、たくさんの人にとって温かいエピソードやストーリーを持ち、大切な誰かのために握る機会の多い食べ物です。日本で生まれて世界に広まるTABLE FOR TWOとして、日本の代表的な食であり、誰かのために握る機会の多い"おにぎり"に、アフリカ・アジアの子どもたちへの想いも込めて参加いただけたら...そんな想いで企画しました。(大宮さん)」
学校給食が確実に支給されるということは、飢餓に苦しむ子どもたちの空腹を満たすことに加えて、子どもたちの基礎体力向上や病気予防、就学率を高めることにも繋がっていく。実際に支援先の小学校では、給食をスタートした後から生徒の数が増加。手洗いや食器洗いの習慣が伝えられたことで感染症も減少、貧困解決のための重要な役割を担っているという。
より多くの給食を届けるため、急遽クラウドファンディングを開始
現在、この『おにぎりアクション』に協賛している企業・団体は、伊藤園、リコー社会貢献団体 FreeWill、ますやみそ、その他アメリカに拠点を置く企業11社の合計14社。当初は、この企業からの資金により、合計10万食の給食を寄付する予定だった。
だが、#OnigiriActionというハッシュタグは瞬く間にSNS上で広がり、わずか3日で1万枚以上と予想を大きく超える数の投稿が集まることに。これは1ヶ月の期間を通して約10万食の給食を届けるという当初の想定をわずか1週間ほどで達成してしまうペース。嬉しい誤算とはいえ、せっかく広がった支援の輪が途中で止まる可能性が出てきてしまったのだ。
今のSNSの拡散力だと、11月末までの期間中にはより多くの写真がアップされることになる。せっかくここまで広がったのならば、もっと多くの給食を届けることが出来るのではないか。そう考えた大宮さんたち TABLE FOR TWO のスタッフは、追加資金を集めるためにクラウドファンディングに挑戦することにした。
「今年は、アクション開始後5日目にして既に1万3千枚を突破する勢いで写真投稿が集まっており、1分間に何枚もの写真投稿がある状況が続いています。この広がった共感の輪を止めてしまうのは本当に残念で、SNSを中心に広まった、日本の食で世界を良くするムーブメントを、どうしても止めたくはありません。考えに考えて、アドバイスをいただいて、意志ある個人の方々からこのプロジェクトに対するご寄付を募ることにしました。(大宮さん)」
『おにぎりアクション2016』のクラウドファンディングは、本日10月17日からスタート予定。成立すれば、写真投稿1万枚、ルワンダ・バンダ村の子どもたちの給食5万食分となる。(TABLE FOR TWOとしては、世界食料デーの10月16日から1ヶ月半で合計100万食を届けることを目標としている。)
私たちの寄付で支給される給食が入っているのが、この写真で子どもたちが握りしめているオレンジのカップ。幼稚園では、1杯1000カロリーほどある栄養たっぷりのおかゆを入れたカップが配られる。
小学校によってはお皿で提供されているところもあるが、常に栄養価の高いものが提供されるように工夫されているという。給食を目当てに登校する子が増えたというのも頷ける。
今回の『おにぎりアクション2016』、SNSにアップされている写真は、コンビニで買ってきたおにぎりから運動会のお弁当のおにぎりまで、本当に様々だ。
もし近いうちに"おにぎり"を食べる機会があるのなら、食べる前に1枚スマホで写真を撮って、SNSにアップしてみるのはどうだろうか。ただそれだけで、世界の子どもたちの笑顔が増える可能性があるのだから。
(2016年10月17日 "おにぎり"の写真で、アフリカの子どもたちに給食を!-Yahoo!個人 より転載)