6月4日に発売された人気漫画「ONE PIECE」89巻(集英社)が物議をかもしている。表紙カバーに掲載された作者の尾田栄一郎さんのコメントとイラストが、不謹慎ではないかという指摘が出ているためだ。
尾田さんは、食事の際に皿に一つだけ残った唐揚げを、グアム島に戦後28年間潜伏した陸軍軍曹の故・横井庄一さんに例えて「横井軍曹」と名付けたという。その上で「横井軍曹残ってるよ!誰か戦争を終わらせて!」と書いている。
■横井軍曹とは?
コトバンクなどによると、横井庄一さんは1915年愛知県生まれ。出征した横井さんは1944年3月にグアム島に転属。最終階級は陸軍軍曹だった。「捕まれば殺される」と信じ込まされ、1972年1月まで島内の密林に潜んでいた。
帰国時の発言を元にした「恥ずかしながら生きて帰ってまいりました」という言葉は、流行語になった。長年サバイバル生活を通して生活評論家として、全国各地で講演。1997年に82歳で亡くなった。
なお、作者コメントの上には日本兵らしきイラストが描かれているが、これは横井さんとは似ていない。フィリピンに戦後29年間潜伏していた元陸軍少尉・小野田寛郎さんの有名な写真によく似ている。
■ネット上の反応は?
ネット上では以下のように批判的な意見が出ている。
・横井軍曹は実在の人物だし茶化されたら微妙だなと思った
・戦争を知らない子供が少しでも興味を持って学んでくれたらと思ったのかもしれないが、正直酷い
・肖像画は小野田少尉で例え話は横井軍曹と、両名を馬鹿にしている
その一方で、過剰に問題視すべきではないという意見もある。
・つまんないけど表現の自由
・この程度で炎上するんかいな
・内容的に馬鹿にしているようなものではない
■集英社が反省文を掲載
週刊少年ジャンプの公式サイトは今回の問題に関して6月14日、以下のような反省文を掲載した。
「6月4日に発売したコミックス『ONE PIECE』89巻の作者コメント欄において、配慮を欠いた表現がありました。編集部、作者共々反省しております。今後は、より一層表現に留意して参ります」
(UPDATE 2018/06/14 17:00)