オウム真理教の元幹部6人に対する死刑が7月26日、執行された。
6人の幹部は林泰男、豊田亨、広瀬健一、岡崎一明、横山真人、端本悟の各死刑囚。
地下鉄・松本サリン事件や坂本弁護士一家殺害事件で、実行犯や主導的な役割を担っていた。
6人はどのような人物で、教団内でどんな立場だったのか。プロフィールをまとめた。
林泰男(はやし・やすお)60歳 科学技術省次官
20歳で父を亡くしたことがきっかけで宗教への関心が芽生えた。1987年にオウム真理教の前身である「オウム神仙の会」に入信し、88年12月に出家。電気工事の資格を持っていたため、科学技術省次官として、教団施設の電気工事を担当していた。地下鉄サリン事件では実行役のひとりとしてサリンをまき、担当した車両で最も多くの死者を出した。そのほかにも、松本サリン事件で使用された噴霧車の製作や、新宿青酸ガス事件にも関わった。
豊田亨(とよだ・とおる)50歳 科学技術省次官
東京大学理工学部の学生だった時に、書店で麻原彰晃・元死刑囚の本を見かけたことがきっかけで入信。東大院生だった1992年4月、麻原元死刑囚から直接説得されて出家し、教団では科学技術省次官を務めた。地下鉄サリン事件では、実行犯としてサリンをまいた。東京・新宿青酸ガス事件、東京都庁小包爆発事件などにも関わった。
広瀬健一(ひろせ・けんいち)54歳 科学技術省次官
早稲田大学理工学部の応用物理学科を首席で卒業する秀才だった。オウム真理教の著書の影響を受けて教団のヨガ道場に通い始め、1988年に出家。科学技術省次官を務めた。90年2月の衆院選で埼玉5区から出馬したが落選。地下鉄サリン事件には実行犯のひとりとして加わった。
岡崎一明(おかさき・かずあき)57歳
会社員時代に雑誌で麻原元死刑囚の存在を知り、電話をかけた。麻原元死刑囚に誘われるまま1985年に「オウム神仙の会」に入会し、87年に出家。教団では、麻原元死刑囚と女性幹部についで3人目の「成就者」となった。89年2月には信徒だった田口修二さん殺害事件、11月には坂本弁護士殺害事件に関わった。
横山真人(よこやま・まさと)54歳 科学技術省次官
電子部品メーカーの社員時代、本屋でオウム真理教の本を見たのをきっかけに、教団のヨガ道場に通い始めた。1989年に出家すると、科学技術省で機械班の仕事を任され、布教用のロボットや自動小銃の製造に関わった。地下鉄サリン事件では実行犯としてサリンをまいた。
端本悟(はしもと・さとる)51歳 自治省
大学2年の時、入信した友人を取り戻そうとオウム真理教について調べるうちに興味を持ち、入信した。1988年末に出家した。勝手気ままな性格で、信徒仲間からは「フリーマン」と呼ばれた。武術の腕を買われ、麻原元死刑囚の警備役や戦闘要員に抜擢。坂本弁護士殺害事件では「制圧役」を担い、一家3人を殺害した。
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今回の執行で、一連のオウム真理教関連で死刑が確定していた元幹部ら13人全員の死刑が執行された。元代表の麻原元死刑囚ら7人に対する死刑執行は、7月6日に行われた。
参考図書:「週刊朝日 緊急増刊 オウム全記録」(2012年7月15日発行)