沖縄の苦難を沖縄だけのものとして捉える限り、基地問題の解決はあり得ません。
Noriyuki Katayama via Getty Images

石破 茂です。

16日月曜日に、22日投開票の沖縄市長選挙に再選を期して立候補している桑江朝千夫氏の応援に行って参りました。

市が中心となって2020年度のオープンを目指して計画している一万人収容のアリーナの建設が争点の一つとなっていますが、スポーツやライブを「する側」からだけではなく「観る側」や「興行する側」の視点からも捉えるこのアリーナの建設には、従来の「ハコモノ」とは全く異なる大きな意義があるものと考えています。

八角形の設計は、どの席から見てもスポーツやライブが楽しめるように配慮したものですし、トラックが直接会場に乗り入れ可能となることによって、ライブの音響や照明の機材搬入が容易となり、感動的な舞台の演出が容易になります。このアリーナは、沖縄市の持つ地理的利便性やチャンプルー(ごちゃ混ぜ)文化の多様性と合わせて

国際的にも優位性を発揮することになるものと思います。

沖縄市(旧コザ市)には、ベトナム戦争(1964~1975)当時に出撃基地として使用された米軍嘉手納基地が所在し、多額の戦時手当を手にした米兵が酒とロックンロールに溺れてつかの間の休暇を過ごし、米兵が落とす金を目当てにアジア諸国から大勢の人が来沖し、エイサーに代表される地元の文化と相俟って世界の何処にもない独特の文化が形成されるに至ったと伝えられています。

1970年のコザ暴動の記憶も随分と薄れてきましたが、沖縄の苦難を沖縄だけのものとして捉える限り、基地問題の解決はあり得ません。                 

森友、加計、自衛隊の日報、財務次官の不適切な発言等々、本質的な政策論とはかけ離れた問題で今週も政界は混乱を極めました。挙証責任、という言葉が正確を欠くとのご指摘も頂きましたので、説明責任と改めますが、裁判で黒白を争っているのではありません。この種のことについて、批判を封殺したり、国民の常識と乖離した対応をしたりすれば、政治の信頼性が脆弱化し、政権基盤そのものを大きく揺るがすことになりかねません。

 今回の財務省の対応は、危機管理の初動を大きく誤った典型のようなものでした。「官庁の中の官庁」「最強の官庁」と呼ばれる財務省においてこうなのですか

ら、政府全体の危機管理体制も、全省庁もう一度徹底して見直す必要があります。官僚にのみ責任を押し付けたりすることのないよう、我々政治の側の責任がそれ以上に重いことも肝に銘じなくてはなりません。

 日米首脳会談は報道されている限り、「サスペン

スとディールの大統領」であるトランプ大統領の真骨頂の一端を垣間見る思いです。

日朝関係は基本的に米中関係の従属変数ですが、大国同士のディールにいかに関与するかは、日韓・日中間で信頼と認識をどれほど共有できるかにもかかっています。トランプ、習近平という指導者を持つ国の間にあって、ただ中国・韓国を感情的に非難するようなことでは、結局国益を大きく損ないかねないことを認識しなくてはなりません。

週末は21日土曜日が岩手県釜石市で懇談と講演(午後3時 釜石市内)。

22日日曜日は神戸学院大学経済学部ゼミナールで講演(午前11時・同大有瀬キャンパス)、自民党兵庫県連青年局ひょうご次世代育成塾で講演(午後2時・神戸市内)、という日程です。

先週に引き続き移動の多い土日です。

ところによっては夏日となる週末となるようです。

皆様お元気でお過ごしくださいませ。

(2018年4月20日石破茂ブログより転載)

注目記事