上野動物園で飼育されていた国内最高齢のメスのオカピ・カセンイが2月3日、天国へ旅立った。24歳だった。
オカピは脚がシマウマのような柄で、体つきは馬に似ているがキリンの仲間。カセンイはきりっとした顔つきが特徴的なべっぴんさんで、シラカシやヤナギの枝に長い舌を伸ばして優雅にご飯を食べる姿がとても愛らしかった。
オカピはジャングルで単独生活をする動物。上野動物園の担当者によると「オカピ全体に言えることではありますが、神経質でざわざわする騒々しいところが苦手。来園した当初は、ラジオを聞かせて人の声や喧騒に慣らしていました」と話す。
高齢で内臓の調子が悪かった
飼育下では、アメリカで33歳まで生きた記録があるオカピ。上野動物園によると、時代や国によって違いが出るため、平均寿命は分からないが、飼育下では25歳前後で老衰によって死亡することが多いという。
高齢になったカセンイはここ数年、冬になると体調を崩すことがあり、屋内の飼育室で過ごすようになった。飼育室でも元気な姿を見せていたが、2019年1月下旬ごろから食欲不振になっていた。
死亡する前日の2月2日まで、いつものように屋内展示されていたが腹部が膨れ始めたので、2月3日になって麻酔をして治療を開始。だが状態が急変して帰らぬオカピとなった。死因は腸閉塞だった。
園の担当者は「高齢になると、体調や内臓の調子が悪くなることがあります。臨床例が極端に少ないため正確には言えないが、高齢によって腸閉塞になった可能性もあります」と話した。
都内の環境に慣れるために努力した飼育員とカセンイ
1994年にアメリカのサンディエゴ動物園で生まれたカセンイは、2001年に上野動物園へ来園した。2008年には共同繁殖を目指してズーラシアへ移動し、2012年7月にまた上野へ戻ってきた。
サンディエゴ動物園から、上野動物園に移った際の飼育環境については慣れが必要だったようで「カセンイが生まれたワイルドアニマルパークは、面積が台東区くらいの大きさでした。なので都会の喧騒や人の話し声も届くことはありません。とても神経質な動物なので、環境変化に慣らすように努力した」という。
都内では、車の走る音やクラクションが聞こえる。そして国内屈指の来園者数を誇る上野動物園では、人の話し声や子どもたちの歓喜の叫び声もいたるところで聞こえてくる。
カセンイは2001年に来園する際、飼育室で少しずつラジオの音量を上げながら、体調や様子を見て展示を始めたという。
日本では性格の合うオスがおらず繁殖に結びつかなかったが、アメリカでは2度の出産と育児を経験している。
カセンイの死後、上野動物園にいるオカピは、オスのバカーリ1頭となった。